形成外科

診療科について

診療体制を整備し高い専門性を生かした治療で患者さんのQOLを追求

私たちは、子どもから高齢の方まで幅広い患者さんを対象に、より身近に感じてもらえる形成外科を目指しています。形成外科は“傷をきれいにする科”などといわれていますが、治療の到達点は社会生活を営むうえで不利となり得る形態異常をなるべく元の形に戻したり、あるべき形に戻したりすることだと考えています。医療者の自己満足に陥らないよう、形成外科医としての矜持を心に、日々の診療に携わっています。
当科は現在、常勤医3人(大澤 昌之、七戸 龍司、山形孝介)による診療を行っており、以前と比較して、患者さんの待ち時間を短縮できるようになりました(2023年8月時点)。また、大澤と七戸は日本形成外科学会 形成外科専門医・日本創傷外科学会 専門医の資格を保有していることに加え、それぞれがいわゆるサブスペシャリティー領域の各種指導医・専門医資格(日本形成外科学会 小児形成外科分野指導医、皮膚腫瘍外科分野指導医、頭蓋顎顔面外科専門医、マイクロサージャリー分野指導医)を有しており、高い専門性を持って幅広い病気に対応できることが特徴です。
私は当科部長を務めるとともに北海道大学病院で客員臨床教授として後進の指導・育成にも携わっています。また、当院は北海道大学病院形成外科専門研修プログラムの連携施設であり、当院で研修している専攻医に対しても手厚く指導を行っておりますが、将来的に指導医として当院に戻ってきていただいて、よりいっそうの診療体制の充実を図っていければと考えています。

診療科連携によって幅広い手術に対応し地域医療に貢献

当科は1993年の開設以来、多くの医療機関の先生に患者さんをご紹介いただいており、地域の先生方とのつながりを大切にして診療を行っております。2022年の手術件数は年間700件を超え、常勤医3人体制になってから徐々に対応できる件数が増えていますので、より地域医療に貢献できるよう体制作りにも注力していきたいと考えております。
先天的要因、外傷、病気や腫瘍切除による組織欠損などを背景とする形態異常の治療には形成外科だけではなく、関係するほかの診療科との円滑な連携が不可欠です。皮膚科疾患や乳房再建のほか、耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患や消化器外科疾患の中でも比較的難しいとされるような症例も、コンサルトしながら治療を行っています。

顔面神経麻痺、顔面骨骨折、顔面の形態異常

当院では顔面神経麻痺の後遺症によって顔が動かない、変形しているといった症状に対して数多くの治療を行っています。耳鼻咽喉科・頭頸部外科と共同手術を行うこともあり、これまで大学病院に集中していた鼻中隔弯曲症といった困難な症例も徐々に対応できるようになってきました。治療法としては後遺症に対する静的な再建(眼瞼形成など)、動的な再建(筋移行、筋移植、神経移植術)を行っています。
また、顔面骨骨折に伴う顔面神経損傷、および頭蓋・顔面骨欠損のほか、外傷による眼窩とその周囲、頬骨、鼻骨の骨折、それに伴う軟部組織損傷の治療も総合的に行っています。中でもかみ合わせに関わる症例の場合は歯科口腔外科との合同手術を行っており、総合病院としての強みを生かした体制で治療を行っています。
先天性耳瘻孔、副耳、埋没耳など各種耳介の形態異常に対しても外科的治療を行っており、いわゆる「折れ耳」などの耳介変形に対する矯正治療は、生まれてから早期に行うと効果的な場合が多いのでご相談いただければと思います。

手足の先天形態異常(多指症・多趾症、合指症・合趾症)

先天的に指が多い多指症、多趾症に対する手術は生後1歳前後で行います。入院期間はその形態、分類によりますが3~14日間程度です。
指の間が癒合している合指症、合趾症では、遊離皮膚移植を併用した指(趾)間形成を行います。こちらも生後1歳前後で手術を行い、入院期間は7~14日間程度です。

皮膚腫瘍、軟部組織腫瘍

皮膚良性腫瘍および皮膚悪性腫瘍に対する治療では、色素性母斑、脂漏性角化症、脂腺母斑、表皮嚢腫、基底細胞がん、有棘細胞がん、脂肪腫などを対象としています。ダーモスコピーを用いた初期診断、各種画像検査による正確な治療計画の立案など、最新のガイドラインに準じた治療を行っています。腫瘍に対する手術は当科でもっとも件数が多く、豊富な経験をもとに腫瘍切除後の皮膚、組織欠損を適切に再建し、腫瘍の治療と美容的な満足のどちらも提供できるように努めています。

瘢痕、瘢痕拘縮、ケロイド

外傷や手術後に残った傷あとは患者さんに精神的な負担を与え、かゆみや関節機能障害による日常生活の支障となります。保存的治療と外科的治療を組み合わせ、患者さんの症状と希望に応じた治療を行うことができます。傷あとによる顔や手指のつっぱりなどが気になるケースなどもご相談ください。
熱傷では的確な初期診断により保存的治療あるいは手術治療の適応を判断し、機能と整容面を両立させた治療を目指しています。慢性化した熱傷や褥瘡などの難治性潰瘍では、創傷治癒が遷延している原因を臨床所見と種々の検査から判断して、保存的治療だけではなく、必要に応じて外科的治療による原因の除去および改善を行っています。

体の組織欠損、形態異常、病気(乳房再建、臍ヘルニア、腋臭症など)

乳房再建は乳腺外科と共同で乳がん切除後の欠損に対して1次再建手術(乳がん手術と同時に行う乳房再建手術)および2次再建手術(乳がん手術の後に一定期間をおいて行う再建手術)を乳がんの状態と患者さんの希望に応じて実施しています。現在は自家組織(腹部や背部の筋肉、脂肪)による再建や、エキスパンダー、シリコンインプラントによる乳房再建を保険診療で実施しています。以前に乳がん治療を受けた経験があり、その際に再建をしなかった方についてもご相談ください。
臍ヘルニアは生下時からの圧迫治療の指導と手術治療を行っています。さまざまな原因に伴う女性化乳房についても入院手術で治療を行っています。
また、腋臭症(わきが)は保険診療で皮弁法という外科的な汗腺切除術を入院手術で行っています。

陥入爪、巻き爪

重症患者さんに対しては主に爪床、爪郭形成やフェノール法による外科的な治療を行っています。

(文責:大澤 昌之)

対象疾患

顔面骨骨折、顔面神経麻痺、顔面の形態異常、多指症・多趾症、合指症・合趾症、皮膚腫瘍、軟部組織腫瘍、瘢痕、瘢痕拘縮、ケロイド、熱傷、褥瘡、組織欠損、乳房再建、臍ヘルニア、女性化乳房、腋臭症、陥入爪、巻き爪など

特殊医療機器

赤外観察カメラシステム、皮膚灌流圧測定機器

診療科データ

実績

手術件数(2023年)

2022
手術件数 826
外傷(顔面骨骨折、熱傷、四肢の外傷) 111
先天異常(顔面、耳介、四肢、体幹) 65
腫瘍(再建手術を含む) 466
瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 32
難治性潰瘍 46
炎症・変性疾患(眼瞼下垂など) 53
美容・その他(腋臭症など) 53

外来

形成外科は1993年に開設され、当初は北海道大学からの出張医による外来診療からスタートしました。2022年7月からは常勤医3人による診療を行っており、年間700件を超える手術を行っています。
専門外来では顔面神経麻痺、乳房再建、先天異常などを対象としており、疾患別に医師の指定する専門外来の時間に受診していただく場合があります。

日/祝
08:40-17:00 - -

午前

外来手術 大澤 外来手術
山下

西尾

入院手術 - -

午後

専門外来 外来手術
入院手術
専門外来 専門外来 入院手術 - -
  • 1外来診療は予約制で行っております。初診で予約可能なのは火曜日、水曜日、木曜日です。
  • 2現在は混雑のため、予約および診察まで2~4週間、手術まで1~2か月程度の待機期間をいただいております(顔面骨骨折などの外傷や緊急性の高い病気を除く)。
  • 3小さな皮膚腫瘍の場合でも初診日の手術は原則行っておりません(組織検査、切開処置を除く)。初診時に医師が診察のうえ、手術予約を調整します。
  • 4ほかの救急患者処置や手術対応によって、当院で速やかに診察ができない場合はほかの関連施設を紹介することがあります。
  • 5レーザー治療は行っていませんので、ご希望の場合はほかの連携施設を紹介しています。

所属医師

  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    形成外科 部長

    大澤 昌之MASAYUKI OSAWA

    診療科・専門
    形成外科/頭蓋顎顔面外科(顔面骨骨折、唇顎口蓋裂に関する二次修正手術など)、形成外科一般
    資格・学会
    日本形成外科学会小児形成外科分野指導医・皮膚腫瘍外科分野指導医・形成外科専門医・形成外科領域指導医/日本創傷外科学会専門医/日本頭蓋顎顔面外科学会認定専門医
    他所属・認定
    北海道大学病院 客員臨床教授/がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    医長

    西尾 卓哉TAKUYA NISHIO

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 北海道大学病院

    専攻医

    山下 愛梨AIRI YAMASHITA

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
目次

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