耳鼻咽喉科・頭頸部外科

診療科について

幅広く患者を受け入れる地域医療連携の中核病院

耳鼻咽喉科・頭頸部外科の特長

当科は“地域に根ざした医療を提供する”という方針のもと、地域の医療施設と密接な連携を保っており、基本的に救急患者や紹介患者を断らずに受け入れています。また、受け入れた患者さんの容体が安定した後は逆紹介も積極的に行っており、病診連携の強化に努めています。
現状、北海道内の市中病院で耳鼻咽喉科領域を幅広く診療できる施設というのは数少ないと思います。その中で当科は特定の病気に注力するのではなく、どのような病気の患者さんでも受け入れることをポリシーとしており、さまざまな患者さんの受け入れが可能です。一人ひとりの医師が異なる分野を専門としており、耳鼻咽喉科の一般的な病気の診療から最先端の設備を生かした専門的な検査、慢性中耳炎や頭頸部がんに対する外科手術、入院を要する患者さんの救急まで広範囲に対応しています。

2021年に日本耳鼻咽喉科学会が日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会へ名称変更しましたが、それ以前から当科は頭頸部外科を標榜し、頭頸部外科疾患への治療に注力してきました。首から上の目と脳と歯を除いた全ての範囲で、積極的に頭頸部外科疾患の治療に取り組んできた実績があります。特に手術については、病理専門医を交えた病理診断のカンファレンスも実施し、手術した患者さんの病理組織を検討する時間を設けており、この結果から手術へのフィードバックを行うことで、より精度の高い治療の実現を目指しています。近隣の施設の先生方は、入院・手術が必要な患者さんや救急疾患の患者さんがいらっしゃいましたら、いつでもご紹介ください。

 

最新機器を駆使して行うチーム医療

最新の検査装置を多数保有しており、幅広い病気の診断、治療に対応しています。最近新たに、喉頭ストロボスコープを導入しました。これは声帯の振動を分析することで、声帯ポリープの状態や喉頭がんを把握するための機械です。
そして標準的な病気に対しては、医師間で治療に大きな差が出ないように、病気ごとの治療マニュアルを活用することで治療方針の統一を実施しています。マニュアルはガイドラインやエビデンスレベルの高い論文などに基づいて作成しており、EBM(Evidence-Based Medicine)の実施に努めております。
さらには耳鼻咽喉科・頭頸部外科医全員や他科の医師、コメディカルスタッフも交えて定期的にカンファレンスを実施することで、特殊な病変に対しても密に連携して治療方針を検討し、チームで意思を統一して治療をすすめています。

低侵襲の内視鏡下手術を積極的に実施

さまざまな病気に対し、低侵襲な内視鏡下手術を実施しています。内視鏡下手術を採用することで入院期間の短縮が期待でき、皮膚切開の範囲も小さくなるため傷が目立ちません。
たとえば、以前の甲状腺・副甲状腺の摘出術では前頸部切開法が標準的な治療でしたが、この術式だと患者さんによっては傷が目立つ場合があります。そのため当科では、内視鏡下頸部手術であるVANS(Video-Assisted Neck Surgery)法を採用することで、侵襲性を小さく抑えています。この方法では鎖骨下部3cm弱と、内視鏡を挿入するための頸部約5mmの傷しか残りません。

鼓膜形成術や鼓室形成術などの聴力改善手術も内視鏡下で実施することで、狭くて複雑な部位の病変も確実に手術可能です。単純な慢性中耳炎であれば、手術によって9割以上が改善します。耳の後ろを大きく切開する顕微鏡下手術に対し、内視鏡下では侵襲を小さくしながら聞こえの温存や改善が望めるため、患者さんにとってもメリットが大きい手術といえるでしょう。

また内視鏡下副鼻腔手術においては、2009年より手術ナビゲーションシステムを導入しており、内視鏡モニター画面とナビゲーションモニター画面を見ながら施術します。ナビゲーションモニター画面を併用することにより、術中にmm単位で位置情報を把握できるため、頭蓋底や眼窩(がんか)などの危険な部位を避けながら手術を安全に行うことが可能となりました。
このように従来の術式だけでなく内視鏡下での手術も積極的に実施することで、さまざまな方法から個々の患者さんに適した治療を実施していきたいと考えています。

入院治療や救急疾患への診療体制

入院診療は一人ひとりの患者さんの容体に応じて治療方針を立て、可能な限り短い入院期間で回復できるような低侵襲治療や、QOLを考慮した集学的治療を積極的に導入しています。また、救急疾患については医師4人体制で土、日、祝日を含め迅速に対応しており、当院の救命救急センターとの連携も積極的に実施しています。
外来診療では、最先端の設備を生かした高度な専門的検査、手術が必要な耳鼻咽喉科・頭頸部疾患や入院を要する救急疾患の患者さんの診療に注力しています。そのため、地域連携医療機関および当院救命救急センター、ほかの診療科からの紹介患者さんを中心に事前予約制で診療を行っており、ご紹介いただく場合は患者サポートセンターやweb予約システムを通して予約を行っていただけると幸いです。この場合、患者さんの状況、関連資料などの情報をいただけると、検査の予約、疾患別専門医受診などの調整ができますので、ご協力をお願いいたします。なお、学会などで迅速に予約が取れない時期がありますので、病状に応じて直接耳鼻咽喉科・頭頸部外科外来または当番医師にご相談いただけると幸いです。特に救急疾患については迅速に対応しています。事前予約をされずに来院した場合、後日の予約診療となることもありますので、ぜひご協力をお願いいたします。外来診療は午前中が紹介制・事前予約制で、午後は完全予約制です。

注力している治療法一覧
  1. 聴力改善手術など、よりよい聞こえを目指した治療(内視鏡下耳下手術:鼓膜形成術・鼓室形成術)
  2. 頭頸部腫瘍の機能温存療法・機能温存手術などの個別化治療https://www.keijinkai.com/teine/wpadmin/wp-content/uploads/2022/01/otolaryngology_05.pdf
    https://www.keijinkai.com/teine/wpadmin/wp-content/uploads/2014/03/otolaryngology_06.pdf
    喉頭がん……放射線療法、化学療法と放射線同時併用療法、喉頭部分切除術、人工喉頭埋め込み術
    口腔がん……部分切除術、機能再建手術
    咽頭がん……放射線療法、化学療法と放射線同時併用療法、機能再建手術、音声再建手術
    甲状腺がん……機能温存手術(含む反回神経再建手術、副甲状腺温存・移植手術)
    耳下腺がん……顔面神経再建を含めた機能再建手術
  3. ナビゲーションシステムを用いた安全な鼻副鼻腔内視鏡下手術
  4. 顔面神経麻痺のトータルケア(急性期治療からリハビリテーション、後遺症に対するボツリヌス毒素療法まで)
  5. 睡眠時無呼吸症候群の診断と治療……自宅で行う簡易アプノモニター検査、または1泊入院によるポリソムノグラム検査を行った後、持続陽圧呼吸療法(CPAP)を導入
  6. 嚥下障害(えんげしょうがい)の診断とリハビリテーション……ビデオ内視鏡検査、ビデオ嚥下造影検査による嚥下障害の診断・リハビリテーション、胃瘻(いろう)造設術前の嚥下機能評価、進行性の神経・筋疾患に対する低侵襲声門閉鎖・気管孔形成
  7. 気管切開と気管孔ケア……気管切開術後の肉芽形成・狭窄(きょうさく)・カニュレ交換困難などのトラブルに対する他院からの依頼手術
  8. 誤嚥防止手術
  9. First bite症候群に対するボツリヌス毒素療法(自費診療)
  10. 末梢性顔面神経麻痺後遺症によるワニの涙症状に対するボツリヌス毒素療法
  11. 内視鏡を用いた甲状腺手術、傷が目立たない皮膚切開による手術
  12. 重症Hunt症候群に対するステロイド・抗ウイルス薬の高用量併用療法

(文責:松村 道哉)

対象疾患

耳鼻咽喉科一般、耳鼻咽喉科救急疾患(反復性鼻出血、扁桃周囲膿瘍・喉頭蓋炎・頸部膿瘍・咽頭喉頭食道の異物)、頭頸部腫瘍(喉頭がん・口腔がん・咽頭がん・鼻副鼻腔がん・甲状腺腫瘍・耳下腺腫瘍・頸部リンパ節炎など)、補聴器相談管理、突発性難聴、先天性難聴、慢性中耳炎、難治性中耳炎、末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺・ハント症候群・後遺症)、難治性副鼻腔炎、副鼻腔嚢胞、鼻閉塞が著しい鼻アレルギー、反復性扁桃炎、睡眠時無呼吸症候群、声帯ポリープ、反回神経麻痺、音声障害・嚥下障害(飲み込みの障害)、言葉の遅れ、各種疾患における気管切開

特殊医療機器

オージオメータ、インピーダンスオージオメータ、自記オージオメータ、OAE、ABR、ENoG、CCDフレンツェル眼鏡、ビデオ式眼振計測装置、重心動揺計、鼻腔通気度計、アプノモニター、ポリソムノグラム、発声機能検査装置、小児用細径ファイバースコープ、電子スコープ3台(NBIスコープ3台)、ポータブル電子スコープ1台、喉頭ストロボスコープ、外来用顕微鏡、手術用顕微鏡、アルゴンプラズマ凝固装置、ハーモニックスカルペル、耳科手術用内視鏡、副鼻腔手術用内視鏡、外来用副鼻腔内視鏡、喉頭直達鏡、食道直達鏡、副鼻腔手術ナビゲーションシステム、ビデオラリンゴ手術システム、小児気管支鏡

診療科データ

実績

主要手術実績(2020~2022年)

  2020 2021 2022
鼓膜形成術 9 4 5
鼓室形成術 10 13 8
中耳チューブ留置術(全身麻酔) 39 16 12
内視鏡下鼻・副鼻腔手術 55 44 33
アデノイド・口蓋扁桃手術 53 77 64
耳下腺良性腫瘍摘出術 16 14 14
耳下腺悪性腫瘍摘出術 4 2 1
顎下腺(腫瘍)摘出術 8 7 4
気管切開術 53 62 65
誤嚥防止手術 0 2 0
声帯ポリープ・喉頭腫瘍摘出術 22 10 24
甲状腺悪性腫瘍手術(頸部郭清術を含む) 25 33 28
甲状腺・副甲状腺良性腫瘍手術 16 19 18
鼻・副鼻腔・口腔・咽頭・喉頭癌手術 26 18 27

救急

24時間 365日

外来

日/祝
08:40-17:00 - -

午前

  • 1診
  • 2診
  • 3診
  • 4診
担当医

-
-
佐藤

古田
担当医
佐藤
松村
三澤
担当医
担当医

-
-
松村

-
担当医
-
-
-
-
-
-
-
-

午後

  • 1診
  • 2診
  • 3診
  • 4診
-
担当医
-
-
佐藤
三澤
古田
担当医
佐藤
松村
三澤
担当医
担当医
担当医
-
-
佐藤
松村
-
担当医
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-
-
-
-
-
  • AM:紹介制・事前予約制/PM:完全予約制

専門外来

日/祝
08:40-17:00 - - - -
第2・4週
- -

補聴器外来

- - - - 松村 - -

所属医師

  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    理事・手稲渓仁会医療センター センター長・院長

    古田 康YASUSHI FURUTA

    診療科・専門
    耳鼻咽喉科/-
    資格・学会
    日本がん治療認定医機構がん治療認定医/日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医・指導医/日本気管食道科学会気管食道科専門医/ ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター/日本医師会認定産業医
    他所属・認定
    日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医/日本耳鼻咽喉科学会 専門研修指導医/日本耳鼻咽喉科学会 代議員/日本耳鼻咽喉科学会 聴器相談医/日本甲状腺外科学会 内分泌外科専門医/北海道大学 客員教授/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    耳鼻咽喉科・頭頸部外科 主任部長

    松村 道哉MICHIYA MATSUMURA

    診療科・専門
    耳鼻咽喉科/-
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医/日本耳鼻咽喉科学会 専門研修指導医/日本耳鼻咽喉科学会 補聴器相談医/日本耳鼻咽喉科学会 補聴器適合判定医師/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    耳鼻咽喉科・頭頸部外科 主任医長

    佐藤 宏紀HIROKI SATO

    診療科・専門
    耳鼻咽喉科、頭頸部外科/小児耳鼻咽喉科
    資格・学会
    日本気管食道科学会気管食道科専門医
    他所属・認定
    日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医/日本耳鼻咽喉科学会 専門研修指導医/日本耳鼻咽喉科学会 補聴器相談医/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    耳鼻咽喉科・頭頸部外科 主任医長

    柳 紘子HIROKO YANAGI

    診療科・専門
    耳鼻咽喉科、頭頸部外科/-
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医/日本耳鼻咽喉科学会 補聴器相談医/日本耳鼻咽喉科学会 補聴器適合判定医師/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    医員

    三澤 隆一RYUICHI MISAWA

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    医員

    中村 輔TASUKU NAKAMURA

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
目次
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