眼科

診療科について

ポイント

網膜硝子体センター、眼窩・神経眼科センターを設置し地域医療に貢献

網膜硝子体センター

網膜硝子体センターでは、勝田医師、鈴木(智)医師、七戸医師、清野医師、谷向医師、若林医師を中心として、この専門分野の診断と治療に取り組んでいます。“眼底”すなわち眼球後方にある網膜、硝子体の病気を診断し治療します。手術による治療にはもっとも力を注いでおり、その対象は増殖糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、増殖硝子体網膜症、黄斑円孔、黄斑上膜、黄斑牽引症候群、網膜静脈閉塞症に合併した黄斑部浮腫、強度近視に合併した網膜剥離や網膜分離症などです。これら網膜硝子体疾患のうち手術件数の多いものは、裂孔原性網膜剥離、増殖糖尿病網膜症です。

いずれも軽症のときは通院での光凝固治療を行います。進行した場合、網膜剥離に対しては、術前の眼底検査で原因裂孔の性状、剥離の状態を詳しく調べ、シリコンスポンジ強膜縫着術、網膜輪状締結術、硝子体手術などの術式から最適な方法を選択し治療します。増殖糖尿病網膜症では、硝子体出血、増殖膜の拡大、牽引性網膜剥離など病態が悪化した場合に硝子体手術で治療します。
また、視機能にとってもっとも重要な“黄斑部”が腫脹する“黄斑部浮腫”は、糖尿病網膜症や網膜静脈分枝閉塞症などさまざまな網膜疾患に合併しますが、当科ではレーザー治療、ステロイド薬の局所投与、硝子体手術などで治療しています。最近注目されている加齢性黄斑変性症に対しては、光線力学的療法(PDT)や抗VEGF薬の硝子体注入、あるいは両者の併用療法を行っています。

眼窩・神経眼科センター

眼窩・神経眼科センターでは、加瀬医師、鈴木(康)医師、坂口医師、谷向医師、若林医師を中心にして、この専門分野の診断と治療に取り組んでいます。視神経疾患のみならず、目に関連する視神経以外の神経や筋肉の病気、眼球周囲の骨(眼窩)の病気や腫瘍も診断、治療いたします。扱う主な病気は、視神経炎、視神経症、眼球運動異常(眼振、複視)、眼位異常(斜視を含む)、瞳孔運動異常、眼精疲労、甲状腺眼症(眼瞼異常、眼球突出、複視、圧迫性視神経症)、眼窩吹き抜け骨折(眼窩底骨折)、眼瞼結膜腫瘍・眼窩腫瘍などです。
これらの病気に対して、内科的治療のみではなく、外科的治療にも積極的に取り組んでいます。深在性眼窩腫瘍に対するクレンライン手術(骨切りを用いた腫瘍摘出手術)、圧迫性視神経症(甲状腺眼症)に対する経涙丘眼窩内壁減圧手術(皮膚切開を行わない眼窩内圧下降手術)、病態に合わせた複数の手術法を組み合わせた眼瞼下垂手術なども行っています。

以上の網膜硝子体疾患、眼窩・神経眼科疾患のほか、当院では白内障、緑内障、斜視、眼瞼内反、翼状片に対する手術も多数行っています。

(文責:勝田 聡)

対象疾患

眼科一般、眼瞼内反症、白内障、硝子体出血混濁、糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑部疾患、緑内障、加齢黄斑変性症、眼窩腫瘍、視神経炎

特殊医療機器

視力検査をはじめとする一般的な眼科検査機器のほか、角膜内皮細胞検査装置、眼軸長測定装置、網膜電位測定装置(multifocal ERG)、眼科超音波診断装置、視覚誘発反応測定装置、眼底カメラ、フルオレセイン蛍光眼底造影(FAG)撮影装置など、基本的な眼科診断設備は整っています。糖尿病網膜症、網膜剥離、加齢性黄斑変性症などの網膜硝子体疾患に対しては、下記の検査機器を使用し検査と治療を行っています。

・光干渉断層計(OCT、OCTA)
レーザー光の反射波の干渉を利用して網膜の断層像を解析する装置で、黄斑円孔、黄斑浮腫、加齢性黄斑変性症などの眼底疾患の検査に欠かせません。当科では最新のスペクトラドメイン方式の機器(シラス HD-OCT Plus)を常備しています。

・インドシアニングリーン蛍光眼底造影装置(ICG)
脈絡膜循環の把握のための造影検査装置で、加齢性黄斑変性症の診断に必要です。

・ハイデルベルグスペクトラリス(HRA)
レーザー走査と高感度検波技術を結合したレーザー走査型眼底カメラです。

・レーザー光凝固装置
糖尿病網膜症、網膜剥離糖尿病黄斑浮腫、中心性網膜炎など、さまざまな網膜硝子体疾患に対してレーザー光凝固治療を行います。

・光線力学療法(PDT)
加齢性黄斑変性症に対する治療装置です。前述したOCT、ICG、FAGなどにより加齢性黄斑変性症の病状を検査し、2泊の入院にてレーザー照射の治療を行っています。

・硝子体手術装置(コンステレーション)
最新の硝子体手術装置で、網膜硝子体疾患の治療を行います。硝子体カッターは高速回転が可能です。

・眼内照明装置(PhotonII:シャンデリア眼内照明装置)
重症な糖尿病網膜症、網膜剥離、増殖硝子体網膜症に対する硝子体手術治療のとき、眼内の良好な視認性を確保する照明装置です。これにより、双手法による増殖膜処理、周辺部網膜の細かな観察と処置などを可能にします。

・23G、25G(ゲージ)硝子体手術
従来の20G硝子体手術よりも小さな切開で手術を行う“小切開硝子体手術”を取り入れています。手術の切開の傷口が小さいので手術後の炎症が軽い、回復がやや早いなどの利点があります。

・眼底観察システム(Resight)
硝子体手術中に眼内を広範囲に観察する装置で、観察する像の歪みが少なく、焦点を合わせやすいなどの長所を持ちます。

眼窩・神経眼科センターでは、下記の検査装置により、神経眼科の精密検査を行います。

・ビデオ眼振計
・三次元眼球運動記録装置(単眼用)
・二次元眼球運動両眼同時記録装置
・近見反応測定装置

診療科データ

実績

手術実績(2022年度)

  2022
手術総数※外来小手術、光凝固術は含まず 1,337件
網膜硝子体疾患 412件
増殖糖尿病網膜症 47
網膜剥離 123
 硝子体手術 100
 網膜復位術 23
眼内レンズ、水晶体 落下・偏位 30
黄斑円孔 42
黄斑前膜 139
硝子体出血 21
眼内炎 7
外傷 3
眼窩・神経眼科センター 66件
眼窩腫瘍摘出術 3
 表在性 2
 深在性 1
眼窩減圧術 3
眼瞼結膜腫瘍切除 5
眼瞼下垂 25
眼瞼内反 12
斜視 12
眼窩脂肪ヘルニア切除 5
涙道手術 1
白内障 823件
水晶体再建術 819
眼内レンズ縫着 4
緑内障 27件
流出路再建術 18
濾過手術 6
毛様体冷凍凝固術 4
隅角癒着解離術 1
その他 9件
外傷(強角膜縫合など) 3
角膜切除、角膜異物除去 2
硝子体注入術 12
網膜光凝固術 29

外来施行(2022年度)

  2022
硝子体注入術 685
網膜光凝固術 107
後発白内障手術 104
虹彩光凝固術 16
隅角光凝固術 10

外来

外来診療について

平日午前中は一般、専門外来診療、午後は特殊検査や特殊治療のための診療です。専門外来(網膜硝子体、神経眼科、斜視など)への受診は紹介状持参のうえ、まず午前の一般外来を受診していただきます。一般、専門外来の診療は月曜日から金曜日までで、医師3人による3診制です。各医師の診療担当日は毎月変更されます。診療担当予定日は、前々月の月初めに決まります。
担当医表はこちらをご確認ください。

直前には予約が取れないこともありますが、受診希望日の前々月の初旬(例:10月受診の予約を取るには8月の初旬)にお電話をしていただくと、予約は比較的容易です。

ご紹介いただく先生方へ

当科は2014年4月より紹介型・予約型となりました。医療機関より患者さんをご紹介くださる際は、患者サポートセンター(直通電話:011-685-2904/専用FAX:011-685-2908)へお電話・FAXをいただくとすぐにご予約が可能で、待ち時間も少なく済みます。当院専用の受診申込票がありますが、紹介元医療機関さまでご使用になられている様式でもご予約が可能です。ただし、診療情報提供書には患者さんの氏名、フリガナ、生年月日、性別、住所、電話番号、受診希望日を明記していただきますようお願いいたします。診療情報提供書を送っていただくと事前にカルテ作成ができ、検査や手術予約などがスムーズになります。

緊急の場合は直接医師にご連絡いただいて至急ベッドを確保したうえで、後に添書をFAXいただければ幸いです。

当院はDPC特定病院群、つまり高度急性期指定病院として認定されています。今までと同様に全ての病気に対応しておりますが、当科も網膜硝子体疾患、神経眼科疾患への診断と治療により力を注いでおり、連携医療機関にご協力をお願いしております。

所属医師

  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    眼科 主任部長

    勝田 聡SATOSHI KATSUTA

    診療科・専門
    眼科/網膜硝子体疾患
    資格・学会
    日本眼科学会眼科専門医/眼科PDT研究会認定医
    他所属・認定
    がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    眼科 部長/眼窩神経眼窩センター センター長

    坂口 貴鋭TAKATOSHI SAKAGUCHI

    診療科・専門
    眼科/眼窩・神経眼科
    資格・学会
    日本眼科学会眼科専門医/日本神経眼科学会神経眼科相談医/眼科PDT研究会認定医
    他所属・認定
    -
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    主任医長

    七戸 夏子NATSUKO SHICHINOHE

    診療科・専門
    眼科/-
    資格・学会
    日本眼科学会眼科専門医
    他所属・認定
    -
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    主任医長

    田中 孝幸TAKAYUKI TANAKA

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    日本眼科学会眼科専門医/眼科PDT研究会認定医
    他所属・認定
    がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    医員

    谷向 哲矢TETSUYA TANIMUKAI

    診療科・専門
    眼科/-
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 北海道大学病院

    専攻医

    秦 雅貴MASATAKA HATA

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 北海道大学病院

    専攻医

    武田 知佳CHIKA TAKEDA

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    眼窩神経眼科センター 顧問

    鈴木 康夫YASUO SUZUKI

    診療科・専門
    眼科/神経眼科、甲状腺眼症、眼窩腫瘍
    資格・学会
    日本眼科学会眼科専門医・眼科指導医/日本神経眼科学会評議員
    他所属・認定
    がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
目次
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