腫瘍内科
診療科について
ポイント
多職種連携により抗がん薬治療から治療環境の調整までをサポート
腫瘍内科は、がん患者さんの診療にあたる総合内科です。
当科における主となる診療分野は、消化器がんや乳腺がんをはじめとする固形がん、原発不明がん、肉腫など悪性腫瘍の治療(抗がん薬治療)です。治癒切除困難な進行がんに対する抗がん薬治療を専門的に行っていますが、私たちの役目は単にStage4の進行がんの標準治療として抗がん薬を投与することだけではありません。抗がん薬の位置づけを確認しながら、がんに対する適切な治療選択とその導入に加えて、症状緩和や治療環境の調整を同時にすすめています。また、外科、放射線治療科、精神保健科、緩和ケアチーム、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリテーション部や医療ソーシャルワーカーなど、がん治療に関連する多職種間の連携を進めていくことも腫瘍内科の役割となります。
当科は特色として以下の7点を掲げ、日々の診療に努めております。他科でがんと診断された患者さんができるだけ不安を抱えないよう、セカンドオピニオンや治療の相談などもお受けしながら、丁寧な診療を心がけております。
- 主に医師・看護師・薬剤師・メディカルソーシャルワーカーによるチーム医療を行っています。
- 各職種の視点から患者さんの治療状況をふまえ、がん治療に関わります。
- 相談しやすい雰囲気があります。
- わかりやすい説明となるよう心がけています。説明内容を記載して患者さんにお渡ししています。
- 説明や相談を積み重ねスピード感を持って治療の方針決定を行っています。
- 遺伝性腫瘍に対応できる治療環境があります。
- がん遺伝子パネル検査について相談を行うことができます。
診療内容・診療体制
当科におけるがんの確定診断以降の流れ
当科では、がんに対する悪性度(組織型)の確定、病期決定、腫瘍量ならびに活動性(速やか vs 緩やか)、緩和すべき症状の有無、予後規定因子や病変などの評価に基づいて予測される治療経過を判断することから始まります。また、Performance Status、認知機能を含んだ各臓器機能、社会的背景や併存する病気(特に高齢の方)、さらには治療により予想される効果(メリット)や副作用(デメリット)を加えた総合的な評価に基づいて治療方針を決定しています。
患者さんの症状や意向などを確認したうえで、ほかの治療選択肢の可能性を提示しながら、抗がん薬の目的と原則として病名(がんであること)・病状・予想される経過について段階的に告知を行っていきます。抗がん薬は副作用を伴い、また、その効果は不確実な側面を伴う治療のため、患者さん自身の病気や治療に関して理解をいただきながら進めていくべきものと考えており、患者さんの同意のもとで治療を開始していきます。具体的な治療目標を一緒に考えながら治療を行うことができるように心がけています。治療開始後も引き続き患者さんの希望に添った生活を考慮し、抗がん薬治療をはじめとするがん治療の位置づけを確認しながら、治療変更や緩和医療への移行などを検討していきます。
主として外来通院治療となりますが、入院が必要な抗がん薬治療は短期入院で対応します。病状の進行、合併症の出現や副作用のため全身管理が必要な場合も、入院のうえ治療を行います。また、緩和ケアチームなど他職種との連携を導入すべき患者さんであれば、治療早期より対応していきます。一方、抗がん薬を主体とする治療では効果が乏しい、また副作用のため体力低下をきたした場合など緩和ケアを進めるべき状態となった場合には、患者さんと相談しながら訪問診療による在宅緩和医療や緩和ケア病棟への移行を行っていきます。
診療体制について
2023年11月現在、常勤医1人、北海道大学病院 消化器内科からの出張医3人、北海道大学病院 腫瘍内科からの出張医1人による診療を行っています。また、外来診療は完全予約制となりますが、緊急を要する場合はいつでもご連絡ください。
対象疾患
悪性腫瘍に対する治療(薬物療法、緩和ケアなど)、内科一般
診療科データ
疾患別外来疾患 患者数
実施中の治験・臨床研究
腫瘍内科では、新しい抗がん薬治療開発のため、臨床研究を実施しています。患者さんには、次世代の治療開発となる臨床研究について、ご相談することがあります。 現在実施している治験・特定臨床研究・臨床研究は以下のとおりです。
治験
- 胃腺癌、食道胃接合部腺癌及び食道腺癌患者を対象とした第III相試験
特定臨床研究
- 消化管・膵原発の切除不能進行・再発神経内分泌腫瘍に対するエベロリムス単剤療法とエベロリムス+ランレオチド併用療法のランダム化第III相試験
- 遠隔転移を有するまたは再発膵癌に対するゲムシタビン+ナブパクリタキセル用療法/modified FOLFIRINOX療法/SIROX療法の第II/III相比較試験
- 切除不能または再発乳がんにおけるT-DXd治療期間中のePROモニタリングの有用性を検討するランダム化比較試験(PRO-DUCE study)
- HER2陰性転移・再発乳がん患者を対象にエリブリンとS1及びhealth-related quality of life (HRQoL)を比較するランダム化第III相試験
- HER2陽性進行・再発乳癌におけるトラスツズマブ、ペルツズマブ、タキサン併用療法とトラスツズマブ、ペルツズマブ、エリブリン併用療法を比較検討する第III相臨床研究
- 局所進行直腸癌を対象とした術前化学放射線療法ならびに術前化学療法の有効性・安全性を検討する臨床第II相試験
- Ramucirumab抵抗性進行胃癌に対するramucirumab+Irinotecan併用療法のインターグループランダム化第III相試験
- 抗EGFR抗体薬不応の結腸・直腸癌に対する2次治療としてのFOLFIRI+アフリベルセプトの有効性と安全性を検討する単群多施設共同前向き第II相臨床試験
- 初回化学療法に不応の治癒切除不能進行・再発胃癌に対するドセタキセル/ラムシルマブ併用療法の多施設共同医師主導前向き第II相試験
- RAS野生型進行大腸癌患者におけるFOLFOXIRI+セツキシマブとFOLFOXIRI+ベバシズマブの最大腫瘍縮小率(DpR)を検討する無作為化第II相臨床試験
- 術後補助化学療法中または終了後早期に再発した胃癌に対するCapeOX+ニボルマブ療法の第II相試験( JACCRO GC-11(FirSTAR試験))
- Neo RAS野生型切除不能進行・再発大腸癌患者に対するパニツムマブ、イリノテカン併用療法の安全性と有効性を評価する第II相試験
臨床研究
- 免疫チェックポイント阻害薬投与後かつAFP 400ng/mL以上の進行肝細胞癌に対するレンバチニブとラムシルマブのランダム化比較第III相試験
- 化学療法既治療の転移乳がんに対するアベマシクリブ療法の観察研究
- アベマシクリブによる薬剤性肺障害の調査研究
- 根治的外科治療可能の結腸・直腸癌を対象としたレジストリ研究
- 血液循環腫瘍DNA陰性の高リスクStage II及び低リスクStage III結腸癌治癒切除例に対する術後補助化学療法としてのCAPOX療法と手術単独を比較するランダム化第III相比較試験
- 切除不能進行再発大腸癌における後方治療の前向き観察研究
- 結腸・直腸癌を含む消化器・腹部悪性腫瘍患者を対象としたリキッドバイオプシーに関する研究
- ctDNA解析を用いた再発胃癌/胃食道接合部癌の遺伝子プロファイルを明らかにするリキッドバイオプシー研究
- トリプルネガティブ乳癌患者に対するアテゾリズマブの前向き観察研究
- RAS遺伝子変異型腫瘍を有する切除不能進行・再発大腸癌患者における化学療法後の血液中RAS遺伝子変異を評価する観察研究
- BRAF 変異型大腸癌に対するBRAF阻害薬併用療法のバイオマーカー探索を含めた観察研究
- 切除不能進行がんおよび転移・再発固形がん患者に対するElectronic Patient-Reported Outcome(ePRO)モニタリングの有用性を検証する多施設共同非盲検ランダム化比較試験
- StageIII治癒切除胃癌症例におけるTS-1術後補助化学療法の予後予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究
- StageIIIの治癒切除胃癌に対する術後補助化学療法としてのTS-1+Docetaxel併用療法とTS-1単独療法のランダム化比較第III相試験(START-2 JACCRO GC-07)におけるバイオマーカー研究(JACCRO GC-07AR2)
- 切除不能進行再発結腸直腸がんに対するIRIS/Bev療法の有効性、安全性に関する多施設共同後方視的観察研究
- 「Neo RAS野生型切除不能進行・再発大腸癌に対するパニツムマブ、イリノテカン併用療法の安全性と有効性を評価する第II相試験」に付随するバイオマーカー研究
- 切除不能進行・再発胃癌に対するニボルマブ再投与における有効性と安全性の前向き観察研究
- National Clinical Databaseによる食道癌全国登録を利用した食道癌術後補助療法としてのニボルマブの安全性と有効性に関する観察研究
外来
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日/祝 | |
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08:40-12:30 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
午前1診
2診 3診 |
石黒 結城 田中 |
石黒 野口 - |
石黒 川本 - |
石黒 田中 - |
石黒 大原 谷本 |
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午前1診
2診 3診 |
石黒 田中 - |
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- 川本 - |
石黒 中村 - |
※専門外来 - - |
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所属医師
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
腫瘍内科 部長/化学療法室 室長
石黒 敦ATSUSHI ISHIGURO
- 診療科・専門
- 腫瘍内科/がん薬物療法
- 資格・学会
- 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本血液学会 血液専門医/日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医/日本乳癌学会 乳腺認定医
- 他所属・認定
- 欧州臨床腫瘍学会(ESMO) Examination Certificate/がんのリハビリテーション研修修了/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
患者さんのご紹介方法
※1 希望医師、希望日時で予約をしてください。
※2 ご予約後、当院にて受付の上、「予約票」を送信いたしますので、「紹介状」と合わせて印刷して患者さんにお渡しください。