血液内科

診療科について

血液疾患のエキスパートが他科と連携し、あらゆる血液疾患に対応

血液内科 主任部長 兼
北海道骨髄腫センター センター長 林 敏昭

多発性骨髄腫や難治例を中心に、幅広い血液疾患に対応

当科の医師は全員血液内科の専門医資格を保有するエキスパートであり、血液疾患全般を診療しています。合併症が多い患者さんは、必要に応じてICUや他科と連携し治療にあたります。
中でも多発性骨髄腫およびALアミロイドーシスなどの骨髄腫類縁疾患は、当科がもっとも注力している分野であり、北海道骨髄腫センターを設置しております。多発性骨髄腫は1年間に人口10万人あたり約5人の発症率で、胃がんなどを含めた全悪性腫瘍の1%、血液悪性疾患の10%と比較的まれな疾患であることから、診断までに時間がかかることがしばしばあります。病的骨折や貧血、腎障害、高カルシウム血症など、多発性骨髄腫が疑われる所見がございましたら、当院へ紹介いただけると幸いです。なお、当院ではがん検診として“多発性骨髄腫リスク”検査を行っております。ご希望の患者さんにつきましても当院へご紹介いただければと思います。
悪性リンパ腫の治療にも力をいれており、合併症のある患者さんの対応も可能です。
なお、同種骨髄移植は当院では実施していないため、該当する患者さんは大学病院などの同種移植施行施設と連携して治療を提供します。

患者さんとコミュニケーションを取り、その意思を尊重して治療を実施

最近の治療の進歩により、比較的長期間コントロールできる血液疾患も増えてきました。しかし、その中には副作用が強かったり、治療のための来院回数が多かったりなど、患者さんやご家族の負担が大きいものもあります。我々はさまざまな治療選択肢を提示しつつ、丁寧にコミュニケーションを取り、一人ひとりが何を重視した治療を希望しているのかを考慮し、患者さんの意思を尊重して治療方針を決定しています。

患者紹介にあたってのお願い――事前スクリーニングについて

当科は、おかげさまでたくさんの施設から患者さんを紹介していただいておりますが、中でも特に緊急性の高い急性白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった血液悪性腫瘍の方を優先的に診察しなければなりません。
そのため患者さんをご紹介いただくにあたって、造血器腫瘍が原因でない患者さんをあらかじめスクリーニングしてからご紹介いただけると、非常にありがたいです。特に高齢者の貧血の場合、半分以上は血液疾患以外が原因と報告されています。貧血であれば、鉄やビタミンB12、葉酸欠乏や消化管出血、腎性貧血などをあらかじめ鑑別いただければと思います。急を要する患者さんの診療をスムーズに行うためにご協力をお願いいたします。

紹介患者数の多さを生かした研修プログラムと血液内科の魅力

当科では積極的に研修医を受け入れています。研修プログラムの最大の特徴として、新患紹介患者数が多い(2022年の新患は317人)ため、多数の診断・治療を経験できることが挙げられます。また、同種骨髄移植などのさらに高度な治療法を学びたい場合は、北海道大学病院と連携して研修を実施するプログラムも用意しています。

血液内科の魅力は、診断から治療まで、全て自ら主導して行うことができるということです。その分日常診療で大変なこともありますが、それもまた血液内科医の醍醐味ではないでしょうか。
血液内科、造血器腫瘍の診断・治療に興味がある方は、ぜひ研修へいらしてください。

多発性骨髄腫

21世紀になってから、多発性骨髄腫に対する新規治療薬が開発され、長期間生存される方も増えてきました。今でも毎年のように新しい治療薬が利用可能となり、治療エビデンスも刻々と変わっています。これらの薬剤を使いこなすには専門的知識が必要であり、また、骨病変や腎障害などに対しては他科と連携した集学的治療が必要となります。そこで、当院では北海道骨髄腫センターを設置し、他科連携でシームレスに治療を提供しております。
2022年1月から12月までにセンターにご紹介いただいた骨髄腫関連疾患の患者さんは、30人でした。その内訳は、多発性骨髄腫8人、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)18人、ALアミロイドーシス4人でした。
若年者(70歳程度以下)に対する自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法は当院でも施行可能です。血液検査や尿検査、単純X線検査、CT、MRI検査などで多発性骨髄腫が疑われる患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫に対する新しい治療法も開発されています。具体的にはB細胞性リンパ腫に対する新規抗CD20抗体や、T細胞性リンパ腫に対する分子標的薬です。なお、抗がん薬治療に抵抗性となった場合、自分自身の免疫細胞(Tリンパ球)に遺伝子改変を行い、リンパ腫を攻撃させるCAR-T療法も開発されていますが、当院では施行不能ですので、北海道大学病院を紹介させていただきます。当院から紹介した患者さんで、CAR-T療法を受けた方が劇的に回復し、スポーツを楽しめるほど元気になったという話も紹介先から聞きましたので、悪性リンパ腫の治療は如実に進歩していると感じています。

急性骨髄性白血病

代表的な血液疾患である急性骨髄性白血病は、若年成人では強力な化学療法や同種造血幹細胞移植療法を行うことにより、約半数の患者さんに長期の完全寛解が得られるようになりました。当院は同種造血幹細胞移植認定施設とはなっておりませんので、移植の適応となる場合は、北海道大学病院などと連携して治療にあたります。同種移植の適応とならない高齢者や合併症を有する方に対する治療法も進歩しており、分子標的薬と従来の抗がん薬の併用療法を当院でも行っており、長期間の寛解を得られる場合もあります。

その他血液疾患に対する化学療法・薬物療法

真性多血症や本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病に対する化学療法、骨髄異形成症候群や特発性血小板減少性紫斑病に対する薬物療法(支持療法、化学療法)なども行っておりますので、血液疾患が疑われる患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください。

対象疾患

多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、白血病、骨髄異形成症候群、特発性血小板減少性紫斑病、血液疾患一般

特殊医療機器

無菌治療室 6床
水平無菌空気装置
COBE Spectra血液成分分離装置

診療科データ

実績

主な疾患の新患者数

  2022
疾患名 件数
悪性リンパ腫 56
多発性骨髄腫 8
意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症 18
ALアミロイドーシス 4
急性骨髄性白血病 8
骨髄異形成症候群 13
慢性骨髄性白血病 6
本態性血小板血症 13
真性多血症 3
特発性血小板減少性紫斑病 13
※自家末梢血幹細胞移植 これまで、悪性リンパ腫・
多発性骨髄腫に対して計80例
施行

学術論文

論文Title

A prospective, multicenter, observational study of ixazomib plus lenalidomide-dexamethasone in patients with relapsed/refractory multiple myeloma in Japan
Annals of Hematology 2023, DOI: 10.1007/s00277-023-05428-7(Toshiaki Hayashi[共同著者])

発表・講演

Circulating tumor DNA assessment improves prognostic prediction in relapsed/refractory multiple myeloma receiving ixazomib, lenalidomide, and dexamethasone.
27th Annual Congress of European Hematology Association | June 9-17, 2022, Vienna, Austria (Toshiaki Hayashi[共同演者])

外来

日/祝
08:40-12:30 - -

午前

  • 1診
  • 2診
山口
酒井

清水
前森
酒井
山口
-
前森
-
-
-
-
  • 紹介制・事前予約制です。

専門外来

血液専門外来

毎週木曜日午後 担当医 酒井

所属医師

  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    血液内科 主任部長・北海道骨髄腫センター センター長

    林 敏昭TOSHIAKI HAYASHI

    診療科・専門
    血液内科/多発性骨髄腫、造血幹細胞移植
    資格・学会
    日本内科学会認定内科医・総合内科専門医/日本血液学会血液専門医・血液指導医・評議員/日本がん治療認定医機構がん治療認定医/日本造血細胞移植学会造血細胞移植認定医/日本輸血・細胞治療学会細胞治療認定管理師
    他所属・認定
    札幌医科大学附属病院 臨床研修指導医/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    血液内科 主任医長

    前森 雅世MASAYO MAEMORI

    診療科・専門
    血液内科/-
    資格・学会
    日本内科学会認定内科医/日本血液学会血液専門医
    他所属・認定
    がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    血液内科 主任医長

    山口 圭介KEISUKE YAMAGUCHI

    診療科・専門
    血液内科/-
    資格・学会
    日本血液学会血液専門医/日本内科学会総合内科専門医
    他所属・認定
    がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    血液内科 医長

    清水 拓TAKU SHIMIZU

    診療科・専門
    血液内科/-
    資格・学会
    日本内科学会認定内科医/日本血液学会血液専門医
    他所属・認定
    がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    医員

    酒井 基HAJIME SAKAI

    診療科・専門
    血液内科/-
    資格・学会
    日本内科学会認定内科医・総合内科専門医/日本血液学会血液専門医・血液指導医 他所属・認定
    他所属・認定
    がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
目次

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