消化器内科
診療科について
ポイント
実施している治療・検査
チーム制による専門性の高い医療の提供
消化器内科の特徴は大きく2つあります。1つは、臓器別に分かれることで専門性の高い医療を提供していることです。当診療科では胆道・膵臓、消化管(食道、胃、大腸)、肝臓と、領域ごとに3チームに分かれ、最先端の内視鏡機器やCT、MRI、超音波機器などを取り入れ、高度な技術による医療を提供しています。
近年の消化器内科の領域は内視鏡治療をはじめとした技術が日々進歩しており、臓器別に高い専門性が求められている状況です。もちろん専門性は重要ですが、極端に細分化しすぎることによるデメリットもあるものの、それぞれのチームの医師が専門性を保ちながらも消化器内科医として総合的に患者さんを診られる体制を取っており、地域の総合病院としての役割を果たしています。胆膵チームの内視鏡の症例数は全国一であり、ほか消化管、肝臓の治療実績においても北海道内で屈指の数を誇ります。
優れた消化器内科医の育成
2つ目の特徴は、優れた消化器内科医の育成を行っていることです。当診療科では各分野において日本屈指の実績を持つ医師が精力的に活躍しており、当診療科で学びたいと毎年数名の医師が、全国から研修に来ており、若い力が集っています。しっかり教育して優秀な消化器内科医を育てることにより、患者さんに優れた医療を提供し還元し続けることも、当診療科の信念として掲げています。
また、当診療科は日常臨床を大切にしながら学術活動にも力を入れていることも特徴です。当院の多数の臨床経験を常に世界に発信するべく、日本全国や海外で毎年開催される学会で発表し、学術誌に論文投稿を行い、積極的に当院の成績の発信を行っています。胆膵チームから発表した英論文は昨年1年間で30本近くにのぼります。若手の先生方はこれらの活動も見て、この手稲渓仁会病院の消化器内科は実績ある医師のもとで高度な技術を学べる、多くの症例を経験できる、学術活動も行えるなど、医師としてのキャリアを積める、と期待されているのだと思います。
最先端の手技と設備で“確実・安全な内視鏡診断・治療”を
消化器内科はさまざまな疾患に対応していますが、メインとなるのは内視鏡による診断・治療です。消化器内科全体の内視鏡総件数は12,121件となり、全国でも有数の数を誇ります。
当院では、ほかの医療機関で内視鏡治療が困難だった患者さんを多数紹介いただいておりますので、そのような患者さんに対しても確実な治療を提供することを目標としています。安全面においては治療後の経過に伴う偶発症発生率の低減を目指しており、特に重症の偶発症を起こさないとよう、日々努力をしております。
内視鏡センターは2018年11月にリニューアルされ、専用のX線室2室を含めて全7ブースあります。上・下部消化管内視鏡専用室5ブースは全て個室で、プライバシーが守られた検査が可能です。このうち1室はESD 治療に特化し、実体顕微鏡を常備したESD 室も備えています。これらの充実した設備と最先端の手技で“確実かつ安全な内視鏡診断・治療”を行えるよう、スタッフ一丸となって努めています。
密に連携したチーム医療と地域との取り組み
2022年6月現在、消化器内科では専攻医1名を含む計19名の医師が在籍しており、Aチーム(胆・膵)、Bチーム(消化管)、Cチーム(肝臓)に分かれて診療にあたっています。ただし、3チームに分かれて専門性の高い医療を提供しながらも、専門性を追求するあまり各診療チーム間の交流が希薄にならないことが大切だと考えます。たとえば胃潰瘍による出血などの一般的な治療は、消化器内科であれば、専門性に関わらずに対応できることが必要です。このため、消化器内科全体が一致団結し、それぞれのチームが広く患者さんに対応できる体制を心がけています。また、消化器病センターとして放射線診断科医、外科医、腫瘍内科医のほか、放射線技師や超音波技師などのコメディカルも参加したカンファレンスを行い、密に連携を取っています。今後も継続して看護師や栄養士などのスタッフも含めた連携の整備を行いながら、最善の治療に努めます。
地域の医療機関との取り組みも積極的に行っており、講演会を開催して消化器内科で扱う疾患についての勉強をしたり、紹介いただいた患者さんの治療や経過についての情報共有を必ず行うようにしています。当院の消化器内科はこれまで築いてきた実績をさらに発展させるべく、新しい医療設備や術式、治療法を積極的に取り入れています。ご紹介いただいた患者さんに最新の医療機器による最先端の治療を提供し、得られた医療情報やデータは、しっかりと地域の先生方と共有したいと考えています。そして、さらにもう一度自分たちでも振り返りながら、次の時代の医療へとつなげてまいります。
(文責:潟沼 朗生)
胆・膵チーム (Aチーム)
胆・膵チーム(Aチーム)の紹介
全国の若手医師が学びにくる高度な医療技術
胆・膵チームの最大の特徴として、全国各地から多くの医師が胆膵疾患の診療を学びきていることがあげられます。現在は7人の若手医師が勤務しており、当チームの指導医師が確立されたエビデンスはもとより、長年の経験に基づいた内容も含め、胆膵疾患の診療を指導しています。
こうした役割を担えるほどの全国的な知名度を有する理由は2つあります。1つは、これまで20年以上にわたり各地から多くの医師を受け入れ、診療技術の習得の後に各地域にお戻ししてきたという実績があることです。地域に戻られた医師の活躍が若手の医師に当チームで学びたいといった気持ちにさせているのだろうと思います。もう1つは、臨床のみならず学術的な活動にも力を入れていることです。当施設で得られた知見や技術を確実に後世へ残すため、北海道支部例会はもとより全国や海外で行われる学会にて発表を行い、最終的に英語論文化することで日本や世界に当チームで行われた研究成果を発信しています。
胆膵疾患の診療を学びたいという意思がある先生は、ぜひ当院まで勉強にいらしてください。我々がしっかりと教育を行います。そして将来的には、胆膵疾患診療の担い手の1人としてご活躍いただけたらと思います。
胆・膵チームの患者受け入れと治療導入
胆膵疾患は、急性腹症や感染兆候で発症するばかりではなく、当院もしくは地域の医療機関に定期通院されている患者さんの体調不良としての発症も少なくありません。したがって、網羅的に胆膵疾患を受け入れるべく、平日日中は主に消化器内科外来、休日および夜間は救急外来で鑑別診断を行い、必要に応じて胆膵疾患に対する治療を早期に開始できるようにしております。
緊急処置の必要性が高い胆膵疾患診療において、ベッド確保は不可欠な課題と考えております。基本的には消化器病センターのベッドを胆膵疾患患者の受け入れに使用しますが、満床の場合は、センター外のベッドを積極的に活用できる環境を整えており、病院に全く空床がない場合を除いて受け入れが可能となっております。
入院後は、休日および夜間であっても、緊急性のある症例では内視鏡処置をはじめとする積極的介入を行える体制を構築しておりますので、機を逸して重症化することはまずありません。
治療に参加する医師間で、「本当に正しいか」「本当に安全か」「患者さんにとってメリットになる方法か」「やりたがりで治療法を選択していないか」などを治療前および治療中にディスカッションし、治療後にも判断が妥当であったか検証し、常に適切な治療判断を行う努力をしており、若手医師から最初に声が上がることも珍しくありません。そうした雰囲気は、より良い治療選択ができる最も重要な部分と考えています。
治療実績
胆・膵チーム(Aチーム)には2022年現在、11人の医師 (指導医 4, 中堅医師 2, 若手 5) が在籍しており、US, CT, MRIなどの画像診断と、内視鏡診断および治療に力を入れています。
画像診断に関しては、すべての画像を指導医参加のもとに皆で共有し、必要あれば放射線診断医にコンサルトすることで読影力の向上に努めています。
内視鏡診断および治療は多岐にわたるので詳細は割愛しますが、超音波内視鏡 (EUS) による画像診断、通常の十二指腸鏡によるERCP手技での診断および加療、術後再建腸管令におけるバルーン小腸内視鏡による診断および加療、さらにはEUSガイド下の嚢胞ドレナージ、胆道ドレナージ、膵管ドレナージなどに関しても、安全面を十分に担保し行っています。日中から稼働可能な内視鏡用の透視室を3室有し、EUS観測装置(EU-ME 2 PREMIER PLUS)2台を透視室内の内視鏡装置に配備し、十二指腸鏡 4本、バルーン小腸内視鏡 2本、超音波内視鏡 5本 (ラジアル型 2, コンベックス型 1, 直視コンベックス 1) を常備しているため、午前中からすべての内視鏡診断および治療の実施が可能な状況としています。内視鏡件数はEUS 765件、ERCP関連手技 1,119件と、全国有数の診療実績を誇っております。
難治性とされる膵・胆道がんの治療には、消化器内科、外科、腫瘍内科、放射線診断科/治療科と協力が不可欠となります。術前・術後の化学(放射線)療法の積極的な導入や、切除不能症例に対するconversion手術といった集学的治療を行うことによる治療成績の向上に努めております。情報共有のため、週に1回の合同カンファレンスを実施し、個々の症例の問題点や適切な治療法について討議しています。各科は院内携帯電話を通じて常に連絡が取り合える体制であり、役職や立場にかかわらず、困ったときはフラットに相談し合える関係を構築できております。胆膵疾患の診療を数多く経験しており、センター開設から現在までに膵がん 2,247例、胆管がん 514例、胆嚢がん 475例、肝内胆管がん 216例、乳頭部腫瘍 234例の診断・治療実績があります。2021年の膵・胆道がんの件数は、膵がん 174例、胆管がん 27例、胆嚢がん 31例、肝内胆管がん 11例、乳頭部腫瘍 5例でありました。
地域連携の観点
コロナ禍以前は地域で研究会を開催し、地域の先生に当チームの診療内容を共有してきました(現在は感染拡大防止のため中止)。今後の情勢にもよりますが、この研究会を再開できれば、より安心して患者さんを紹介いただける体制ができるのではないかと考えています。これまでも当チームには道内の多くの医療機関から患者さんが送られてきています。その理由は、やはり当院が「断らない」施設であるからだと思います。加えて、ご紹介いただく際はお電話1本いただければ可能な限りすぐに引き受けるというシステムを設けており、道内各地の施設の患者さんを受け入れやすい体制を築いています。今後もお困りの際はお気軽にご相談ください。我々にできることがあるならば、全力で努めさせていただきたいと思っています。
(文責:林毅)
消化管グループ(Bチーム)
消化管グループ(Bチーム)の治療方針
消化管グループ(Bチーム)は、主に食道・胃・大腸における早期がんの内視鏡精密診断および治療に特化したグループです。拡大内視鏡や超拡大内視鏡、EndoBRAIN-EYE(エンドブレインアイ)などの最新の診断機器を導入し標準的に実施するとともに、手技の難易度が高い内視鏡的粘膜下層剥離術(以下、ESD)などの内視鏡治療に関しても網羅的に対応できる体制を整えています。
当グループは「治療前の診断を正しく行うこと」に重きを置いています。適切な治療法を選択するためには、まず腫瘍が良性か悪性かの診断を正しく行うことが大切だからです。
拡大内視鏡等を活用して正確に内視鏡診断を行うことで、病変を切除する前に、ある程度その腫瘍が良性であるか悪性であるかの検討をつけることができます。その結果をもって、数ある治療の中から患者さんの病態に応じた適切な治療法を提示できるように努めています。“取ってみないと病変が良性か悪性か分からない”ような状態で治療を進めることはありません。
近年は、内視鏡治療や外科手術など、消化管疾患に対する治療選択肢にも多様性が生じています。かつては、ポリープに対する治療といえば内視鏡的粘膜切除術(以下、EMR)しか存在しませんでしたから、ポリープが良性か悪性かにかかわらず切除が選択されていました。しかし現在は、一口に内視鏡治療といってもさまざまな種類があり、病態に応じて使い分ける必要があります。良性であれば、より侵襲(しんしゅう)性の低い治療を選択してもよいですし、悪性の疑いがある場合は、少し侵襲性を伴っても慎重かつ確実な治療法を選択する必要があります。悪性かつ進行しているという診断がつけば、外科手術の適応も検討されます。良性腫瘍に対しては、コールドポリペクトミーなどの比較的侵襲性が低い簡便な治療を選択することがあります。一方で、悪性腫瘍に対してはESDやEMRなど、侵襲性が高くても慎重かつ確実な治療を選択することが一般的です。
このような状況下だからこそ、よりいっそう治療前の診断が重要になってくると考えます。
対象疾患と主な治療法
主に扱っている病気は消化管がん(食道がん、胃がん、大腸がん)であり、早期がんから進行がんまで包括的に診療を行っています。がん以外にも、胃・十二指腸潰瘍(いじゅうにしちょうかいよう)、大腸ポリープ、食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)、炎症性腸疾患、救急疾患(吐血、イレウスなど)といった病気に幅広く対応しています。
実施している治療法は、拡大内視鏡・超拡大内視鏡による内視鏡精密診断、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などです。
2021年度の消化管がんの症例数は、食道114例、胃231例、大腸270例。このうちESDを施行した件数は、食道22例、胃92例、大腸108例でした。
また、内視鏡精密診断を行うにあたって、拡大内視鏡・超拡大内視鏡・AIによる内視鏡診画像断支援ソフトウェアなどの必要な機器を取りそろえている点が大きな特徴です。
拡大内視鏡・超拡大内視鏡による内視鏡精密診断
内視鏡精密診断には拡大内視鏡を標準的に用いており、より高度な判断技術が求められる症例にも対応が可能です。
北海道地域において、拡大内視鏡を通常検査で標準的に実施する医療機関は多くはありません。もともと拡大内視鏡は、工藤 進英先生が秋田赤十字病院在籍時代(現:昭和大学横浜市北部病院)に確立した診断学です。当グループでは、秋田赤十字病院をはじめとした施設で直接研修を受け、診断学をしっかりと理解している医師が中心となり内視鏡精密診断を行っているため、標準的な拡大内視鏡検査の導入が実現できています。検査数も道内トップクラスです。
また超拡大内視鏡は、拡大内視鏡よりもさらにミクロの細胞レベルまで見ることができる内視鏡で、より精密な診断が可能です。現在は大腸に対して用いています。
このほか、検査時の患者さんの苦痛を軽減するために、鎮静剤やお腹が張りづらい炭酸ガスを積極的に使用していることも特徴です。
ミクロレベルでのESD
ESDを実施するにあたっては、まずNBI拡大観察や酢酸インジゴカルミン法による病変の精密診断を行います。さらに、ESD後は実体写真の撮影から病理組織との対比までを行い、一つひとつの症例に対してミクロレベルで向き合っています。
当グループにおける内視鏡治療実施数は長期的に見ると増加傾向にあり、2020年度のESDの実施件数は220件を超えています。
※新型コロナウイルス感染症拡大に伴う全国的な受診控えの影響により、2021年度は減少傾向。
AI診断支援ソフトによる診断
大腸内視鏡検査においては、2020年に発売された内視鏡画像診断支援ソフトのEndoBRAIN-EYE(エンドブレインアイ)を導入しています。大腸ポリープを発見するとAIが自動で反応し、内視鏡の画面上にポリープのある位置を指し示す機能を持つため、このソフトを導入することで診断精度のさらなる向上が期待できます。EndoBRAIN-EYEは発売から間もないため、全国的にも導入している施設は数箇所程度です。当グループの医師は学会活動や学術活動にも力を入れており、実際にこの機器がポリープ発見精度の向上に有効と言えるのか、臨床活用と並行して検証を行っています。支援ソフトを用いた内視鏡診断についてある程度データがまとまったら、学会発表や症例報告等を行って有効性を発信し、社会に貢献していきたいと考えています。
当施設は、診療の質と救急疾患の受け入れ体制のバランスが取れている施設です。救急疾患であっても24時間常に極力受け入れる体制を構築しており、そのためのマンパワーも確保しています。消化器内科のみならず他科連携やコメディカルのバックアップも充実しており、どのような病気であっても幅広く対応することができます。高度な内視鏡診断技術が必要な症例や、治療が難しい症例でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
(文責:原田 拓)
肝臓グループ(Cチーム)
肝臓グループ(Cチーム)の治療方針
地域医療機関と連携した外来診療を重視する治療方針
一般的に消化器内科は、主な治療方針に内視鏡を掲げているところが多い診療科です。しかし、主に肝臓疾患を扱う当グループの場合は少し特殊で、内視鏡よりも外来診療に重きを置いた治療方針を採っています。これには、生活と密接に関連する肝臓の病気が増えてきていることが理由に挙げられます。
ウイルス感染などが原因で起こる肝炎は、内服を一定期間続けることで治療できる時代になりました。その一方で、食生活の欧米化に伴い脂肪肝の患者さんが増加しています。
かつて脂肪肝は、消化器内科の中でもそこまで重要視されてこなかった病気ですが、近年では、脂肪肝の患者さんがやがて肝硬変、ひいては肝がんの発症を生じさせることが分かってきました。最近では、肝がん患者さんのうち脂肪肝が原因で発症した方の数はかなりの割合を占めると推察されています。
さらに、脂肪肝の患者さんは脳血管障害などの心血管イベントが多いことも明らかにされてきました。
現在、日本にはお酒(アルコール)を飲まない脂肪肝患者さんが約3,000万人いると考えられています。このように、もはや“国民病”になりつつある脂肪肝を診るためには、地域の医療機関と我々が強固に連携し、役割分担をしなければなりません。そのため当グループは、近隣の医療機関との連携を何よりも重視しています。
脂肪肝は健診で行う血液検査でも数値の上昇を確認できますし、超音波による画像的な検査も可能ですので、診断までは地域の医療機関にお願いしています。
脂肪肝の重症度や合併症のリスクなどによっては今後のフォローの仕方が変わってきますから、診断がついたら当施設へ紹介いただきます。そして当グループで精密検査を行い、進行具合や心血管イベントのリスクなどが起こる可能性などについて確認し、重症度を判断します。軽度の脂肪肝と判断されれば、心血管イベントが起こる可能性は高くないため、地域の医療機関にフォローをお願いしています。一方、重症度が高い場合や心血管イベントが今後起こり得る可能性が高いと判断した場合は、紹介元と役割分担をしながら当グループでも診療を継続していきます。
このほかの取り組みとして、地域の医療機関の先生方にお集まりいただき実施していた、肝臓にまつわる勉強会が挙げられます。そこでは肝疾患に対する最新の治療薬やガイドラインの説明、ご紹介いただいた症例の診断結果などについて情報提供を行っていました(2022年現在は新型コロナウイルス感染症の影響により開催を中止。今後の情勢によっては再開の可能性があります)。こうした取り組みを継続してきた結果、現在の綿密な連携体制を構築できているのだと考えています。
後志地域からの紹介患者数推移
対象疾患と主な治療法
肝臓グループ(Cチーム)は現在、消化器内科医5人・放射線診断科医3人の8人体制で、肝がん、肝炎、脂肪肝、胃食道静脈瘤などの幅広い病気を対象にしています。
肝がんに対しては、2000年頃、全国に先駆けてラジオ波焼灼療法(RFA)を導入しました(2020年度実績:82件)。また、外科的切除やラジオ波焼灼療法が適応できない症例に対しては、肝動脈化学塞栓療法(TACE)を積極的に行っています(2020年度実績:56件)。
ラジオ波焼灼療法に用いるデバイスは日々進歩しており、当グループは新しいタイプの機器をいち早く取り入れています。また、ラジオ波焼灼療法を行う際には超音波を用いますが、超音波機器も常に最新のものを導入しています。新しい超音波機器を用いるメリットは、従来のものに比べて解像度が高いため、より正確な治療を目指すことができる点にあります。
肝炎に対しては、著しい治療の進歩がみられるC型慢性肝炎やB型慢性肝炎のみならず、内科的な治療だけでは救命が難しい劇症肝炎の患者さんも全道からご紹介いただき、他院の移植外科と協力しながら治療に取り組んでいます。
脂肪肝はなかなか治療が難しく、減量や生活習慣改善、運動などを推奨して重症化を防止するくらいしか言えることがない状況です。私の場合は、外来で「3か月で2kg痩せましょう」など、具体的な数字を挙げながら患者さんを診るよう心がけています。
また、脂肪肝は肝線維化の進行に伴って肝硬変や肝がん、心血管イベントの発症リスクを増大させるため、当グループでは血液検査と超音波検査で肝臓の線維化を測定することによりリスクの度合いを同定し、外来診療につなげています。古いタイプの超音波機器では肝臓の線維化を測定する機能がないため、最新機器を導入している当院ならではの方法といえるでしょう。
一口に消化器内科といっても、臓器によってその治療法はさまざまです。肝臓の場合、病態によっては内科的に治療できることがあります。当グループでは肝臓の症例に対し、解像度が高い超音波機器などを活用しながら治療にあたっています。また、劇症肝炎や急性肝不全など、ほかの施設では対応が難しいような病気の患者さんも他院の移植外科と協力しながら治療にあたり、これまでに多くの命を救ってきた実績があります。
地域の医療機関と検査から診断、治療法の選択、フォローアップまでしっかり連携しながら対応していきますので、肝臓に関する症例で判断に迷うことがあれば、いつでもご相談ください。
(文責:松居剛志)
対象疾患
消化器内科一般、上部下部消化管(がん、胃十二指腸潰瘍、大腸ポリープ、食道静脈瘤、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸症候群)・肝臓(肝炎、肝細胞がん)、胆嚢(胆石症、胆嚢がん)、膵臓(膵炎、膵臓がん)、胆管(胆管炎、胆管がん)、消化器内視鏡治療(内視鏡的がん切除、止血術、ステント留置)
特殊医療機器
診療科データ
実績
診療実績(2022年)
2022 | ||
---|---|---|
件数 | ||
上部消化管内視鏡検査 | 5610 | |
上部消化管内視鏡的切除術 | 121 | ESD: 116 (食堂44、胃73) |
下部消化管内視鏡検査 | 3,714 | |
下部消化管内視鏡的切除術 | 811 | ESD:70 |
超音波内視鏡(EUS)検査 | 789 | 観察EUS:497件、 EUS/FNA:292件 |
胃・食道静脈瘤内視鏡治療 | 38 | |
ERCP関連手技 | 1,001 | |
EUS関連手技 (Interventional EUS) |
122 | |
肝生検 | 73 | |
ラジオ波焼灼療法(RFA) |
76 | |
TACE | 71 |
消化器内科紹介元医療機関
学術論文(査読のあるもの)(2021年1月〜12月)
-
1
和文学会誌
-
13
英文学会誌
※1
※1
- Ishii T.
Role of endoscopic ultrasound in the diagnosis of pancreatic neuroendocrine neoplasms - Ishii T.
Successful intervention using multiloop traction for cases with difficult biliary cannulation due to periampullary diverticula cannulation due to periampullary diverticula - Toyonaga H.
Gel immersion technique for the examination and treatment of an ampullary tumor - Toyonaga H.
Ampullary tumor with a rare etiology: A new lesion in the residual ampulla following curative resection of the perihilar cholangiocarcinoma - Toyonaga H.
Endoscopic ultrasound examination of the intrapancreatic pancreatobiliary ducts using the gel immersion method in patients with periampullary duodenal diverticula - Tanaka K.
Potential of PALBI-T score as aprognoctic model for hepatocellular carcinoma in alcoholic liver disease - Toyonaga H.
The application of texture and color enhancement imaging in transpalillary biliary cannnulation - Toyonaga H.
Endosopic clipping to prevent papillary obstruction when closing a duodenal perforation with an over-the-scope clip - Toyonaga H.
Single-balloon enteroscopy assisted successful removal of a migrated covered self-expandable metal stent for hepaticojejunostomy anastomotic stenosis
学会発表・講演(2021年度)
国際学会
全国学会
地方会
全国会・
地方会座長
座長・司会(2021年度)
全国学会
地方会
講演会・研究会
救急
24時間 365日
外来
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日/祝 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
08:40-17:00 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
1診 2診 3診 4診 5診 6診 |
潟沼 辻 原田 金 姜 上野 |
林 松居 五十嵐 本谷 田中 - |
潟沼 辻 髙橋 - 姜 豊永 |
林 南 安藤 金 清水 - |
高橋 松居 石井 本谷 田中 - |
- - - - - - |
- - - - - - |
所属医師
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
副院長/患者サポートセンター センター長
辻 邦彦KUNIHIKO TSUJI
- 診療科・専門
- 消化器内科/肝臓
- 資格・学会
- 日本消化器病学会消化器病専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医・支部評議員/日本肝臓学会肝臓専門医・指導医・東部会評議員/日本内科学会認定内科医/日本肝癌研究会幹事
- 他所属・認定
- 日本消化器病学会 本部評議員/日本消化器病学会 支部評議員/日本消化器内視鏡学会 本部評議員/日本門脈圧亢進症学会 地区代表世話人/日本内科学会 施設指導医/日本内科学会 支部幹事/日本内科学会 支部評議員/日本アプレーション研究会/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
消化器病センター センター長/消化器内科 主任部長
潟沼 朗生AKIO KATANUMA
- 診療科・専門
- 消化器内科/胆・膵
- 資格・学会
- 日本消化器病学会消化器病専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医・支部評議員/日本内科学会認定内科医/日本胆道学会認定指導医・評議員/日本膵臓学会認定指導医・評議員/日本腹部救急医学会評議員
- 他所属・認定
- 日本消化器病学会 評議員/日本腹部救急医学会認定医・教育医/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
消化器内科 部長/腹部超音波室 室長
松居 剛志TAKESHI MATSUI
- 診療科・専門
- 消化器内科/肝臓
- 資格・学会
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医/日本消化器病学会消化器病専門医・北海道支部 評議員/日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・支部評議員/日本肝臓学会肝臓専門医・東部会評議員・評議員/日本超音波医学会超音波専門医・超音波指導医・代議員
- 他所属・認定
- 日本消化器病学会 本部評議員/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了 /日本医師会 臨床研修指導医
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
消化器内科 部長/内視鏡室 室長
原田 拓TAKU HARADA
- 診療科・専門
- 消化器内科/消化管
- 資格・学会
- 日本内科学会認定内科医/日本消化器病学会消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会指導医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
消化器内科 部長
金 俊文TOSHIFUMI KIM
- 診療科・専門
- 消化器内科/胆・膵
- 資格・学会
- 日本内科学会認定内科医/日本消化器病学会指導医/日本消化器内視鏡学会指導医/日本肝臓学会肝臓専門医・指導医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医/日本胆道学会認定指導医・評議員/日本膵臓学会認定指導医
- 他所属・認定
- 日本消化器病学会 評議員/日本消化器内視鏡学会 評議員/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
主任医長
林 毅TSUYOSHI HAYASHI
- 診療科・専門
- 消化器内科/胆・膵
- 資格・学会
- 日本内科学会認定内科医/日本消化器病学会消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医/日本膵臓学会認定指導医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
主任医長
本谷 雅代MASAYO MOTOYA
- 診療科・専門
- 胆・膵
- 資格・学会
- 日本内科学会総合内科専門医/日本消化器病学会専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会専門医・指導医/日本膵臓学会指導医/日本胆道学会指導医
- 他所属・認定
- -
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
主任医長
田中 一成KAZUNARI TANAKA
- 診療科・専門
- 消化器内科/肝臓
- 資格・学会
- 日本内科学会認定内科医/日本消化器病学会消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
主任医長
五十嵐 聖名子MINAKO IGARASHI
- 診療科・専門
- 消化器内科/消化管
- 資格・学会
- 日本内科学会認定内科医/日本消化器病学会消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
医長
清水 孝夫TAKAO SHIMIZU
- 診療科・専門
- 消化器内科/肝臓
- 資格・学会
- 日本内科学会認定内科医/日本肝臓学会肝臓専門医/日本消化器病学会専門医/日本消化器内視鏡学会専門医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
医長
南 亮輔RYOSUKE MINAMI
- 診療科・専門
- 消化器内科/肝臓
- 資格・学会
- ECFMGcertificate/日本内科学会内科専門医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
医長
上野 あかりAKARI UENO
- 診療科・専門
- 消化器内科/消化管
- 資格・学会
- 日本内科学会内科専門医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
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医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
専攻医
安藤 遼RYO ANDO
- 診療科・専門
- 消化器内科/胆・膵
- 資格・学会
- -
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
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医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
嘱託常勤医
姜 貞憲JUNGHEON KANG
- 診療科・専門
- 消化器内科/肝臓
- 資格・学会
- 日本肝臓学会肝臓専門医・指導医/日本内科学会認定内科医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
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医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
医員
高橋 邦幸KUNIYUKI TAKAHASHI
- 診療科・専門
- 消化器内科/胆・膵
- 資格・学会
- 日本消化器病学会指導医/日本消化器内視鏡学会指導医/日本内科学会認定内科医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
患者さんのご紹介方法
※1 希望医師、希望日時で予約をしてください。
※2 ご予約後、当院にて受付の上、「予約票」を送信いたしますので、「紹介状」と合わせて印刷して患者さんにお渡しください。