救急科・救命救急センター

診療科について

ポイント

  • 厚生労働省の救命救急<br>センター評価で道内最高評⁨⁩⁨⁩価

    厚生労働省の救命救急
    センター評価で道内最高評⁨⁩⁨⁩価

  • 総合病院としての強みを生かし院内の全診療科への診療に素早くつなげる

    総合病院としての強みを生かし院内の全診療科への診療に素早くつなげる

  • 一次救急から三次救急まで<br>救急患者を受け入れ

    一次救急から三次救急まで
    救急患者を受け入れ

どのようなときも地域の皆さんの命を守る診療科

迅速に患者さんを診療し最適な治療につなぐ

当科では、救急疾患に対して迅速に対応しているだけでなく、院内全ての診療科を交えた診療が行えるよう、診療環境を素早く整えられる体制を敷いております。2022年には厚生労働省の救命救急センター評価においてA評価を受けており、おかげさまでA評価の中でも道内最高と評価されています。
加えて、さまざまな病状の患者さんを受け入れている点も大きな特徴です。
当院は三次救急病院に指定されていますが、救命救急センターとして、救急搬送されるような重症の患者さんだけでなく、軽症・中等症の患者さんも受け入れております。これは、一見軽症に見えても、実は重症の病気が隠れている場合があるためです。当科では、“診られないから断る”ということは基本的に行いません。
患者さんが必要な医療を受けられないことを防ぎ「地域の方々が安心して暮らすための拠り所となって要望に応えていきたい」と考え、日々の診療ではこれらの強みを生かしながら迅速で適切な治療を提供することを心がけています。

強固な診療科連携でどのような病態にも向き合う

救急科は、“運ばれる患者さんが必ずしも病院を選べない”という点がほかの診療科と異なります。
当院はもともと地域の総合病院から始まっていることもあり、院内で診療科の連携が充実していることが大きな強みです。診療科同士の風通しがよく、救急科の中だけではなく、ほかの診療科も一緒に解決に導く姿勢で病態を診ています。他科と一緒に診る・または他科に依頼するという判断をすることも多々ありますが、もちろん救急科で全てを診る病態もあり、最適かつ最善の治療を提供することができます。たとえば多発外傷や中毒、心肺停止などの重症患者さんです。これらは救急科管理下で入院治療を行います。さらに、夜間や休日に救急搬送された患者さんを居住区の病院に紹介して外来フォローをお願いするなど、病診連携も行っています。
救急医療は社会医学の面も備えており、単純に診療だけを行えばよいのではありません。救急科は、初診の患者さんに接する、いわば“病院の入口”にもなるため、比較的患者さんの背景を意識して診療にあたらなければなりません。
また、ドクターヘリや災害など病院外での診療では、救急隊などのコメディカルやさまざまな医療チーム、行政などとチーム医療を実践していかなければならないことも特徴です。
こうした特徴を踏まえて、どのような病態や場面でも向き合える診療を行っております。

「専門外はない」と言える救急医の育成を目指して

救急科は特定の病気に対する診療科ではないため、さまざまな病態の患者さんが予測なくやってきます。緊急状態に対する専門領域であり、緊急事態に対して全てに対応し、適切な治療に導くことが救急の目的といえるのではないでしょうか。
これまで対応したことがない病気でも、その病態を捉え、その後の診断につなげるために必要な診療を開始できること、つまり無の状態から自分たちでデザインできるのが救急医療です。自分たちの専門領域を持たないことは、“専門でない部分がない”ということでもあります。若手の救急医が自信を持って「専門外はない」と言えるように指導していこう、という信念で後輩の指導にあたっています。
若手の医師にとって当科は、初期から三次救急までの患者さんを幅広く受け入れているため、多くの症例を経験できる場であると考えております。また、比較的他の診療科と一緒に診ることが多く、その点でコミュニケーションやチーム医療を実践する機会も多いです。加えて、ドクターヘリを運航しているので搬送前に対応を要するケースなど、緊急度の高い救急医療も経験することができます。
当科の研修プログラムでは、日本救急医学会の救急科専門医資格を取得するにあたって経験すべき疾病・病態・検査・診療手順・手術・手技を網羅的に経験できるよう、研修基幹施設と研修連携施設での研修も組み合わせています。また、大学での研修を1年間受けることで、その期間に学術的な部分にも触れていただきたいです。
このようにして救急科関連領域の医療技術向上および専門医取得を目指す臨床研修、リサーチマインドの醸成および医学博士号取得を目指す研究活動も選択できるようにしていますし、サブスペシャルティ領域である集中治療医学領域専門研修も可能となっています。
当科は“どのような救急疾患でも診ることができる・断らない”という気持ちを持った救急医の育成に努めております。地域のみならず日本の救急医療の需要を補うためにも、幅広い救急疾患を診療できる救急医を育てなければなりません。これは初期研修の中でも救急を勉強するうえで重要な点であり、当院は重要な役割を担っている自負とともに日々指導を行っております。

診療体制

  • 救命救急センターとして<br>30床を有する

    救命救急センターとして
    30床を有する

  • ドクターヘリとRRC<br>(Rapid Response Car)を活用 天候に左右されない診療体制を構築

    ドクターヘリとRRC
    (Rapid Response Car)を活用 天候に左右されない診療体制を構築

高度急性期病院として強固な診療体制で地域を支える

救急外来では、365日24時間体制で、主に救急車で来院する患者さんや、自力来院の中でも外因によるものや緊急性の高い内因性疾患の患者さんの診療を担当しています。
救急医の業務はトリアージのみのように誤解されがちですが、実際には患者さんの初期評価と同時に、必要不可欠と考えられる治療介入を行いつつ、病態に応じた専門医による適切な治療へ安全に引き継ぐということが救急医の重要な役割です。多発外傷、心肺停止蘇生後、外因性疾患などの重症患者さんは救急科管理下で入院治療を行っており、高度急性期病院としての機能やマンパワーを生かして幅広い年代や病態の救急医療を担っています。
2005年4月1日からは北海道ドクターヘリの基地病院に、また、2011年11月には災害拠点病院にも指定されており、災害派遣医療チーム(DMAT)も有しておりますので、万が一の際にも地域を支える診療科として体制を整えています。
今後もさらに、地域の救急ネットワーク体制にプラスに働くようなさまざまな取り組みにも挑戦してまいります。

道央ドクターヘリの基幹病院として――広大な北海道の救急医療を支える鍵

現在道内では4機のドクターヘリが活動していますが、手稲渓仁会病院は、北海道で初めてドクターヘリの正式運航を開始した病院です(全国では9番目)。民間病院がドクターヘリ事業に取り組む事例は少なく、大きなチャレンジとして社会の注目を集めるとともに、その実績が認められています。
当院から半径150kmの範囲が運航圏です。ヘリ内部には人工呼吸器などの医療機器や医薬品などが備えられ、出動要請があれば医師と看護師が現場に急行し、迅速な処置とスピーディーな搬送を行います。今やなくてはならない“北海道の救急医療を支える存在”といえます。
緊急的な治療は、外傷だけでなく脳卒中や心不全などの内因性疾患でも必要とする方がたくさんいます。ドクターヘリを呼ぶかどうかという見極めが難しいところですが、要請をためらうケースを減らすために、関係機関での丁寧な説明や、各地で報告会・後援会を開催し理解を深めてまいりました。
また、現場で判断に迷うことなく要請をスムーズに行えるよう、キーワード方式を採用しています。119番通報の段階であらかじめ決めたキーワードに合致すれば、直ちにドクターヘリを要請するというシステムによって、迅速に生命を救う取り組みが進められています。

生命をつなぐための救急処置――軽症から重症までさまざまな病態を診療

救急外来では、常時数名の救急専従医が、救急車やドクターヘリ、または自力で来院される患者さんの診療にあたることに加えて、各当直医(消化器病センター、心臓血管センター、脳神経外科、小児科、外科、総合内科、 ICU各1名)がバックアップする体制をとっています。
初期から三次救急の患者さんを受け入れる当科では、年間2万人超の患者さんを診療しています。患者さんに適切な処置を迅速に行うべく、マンパワーだけでなく設備体制も整えております。
ERとしては、病気や外傷に合わせて必要な設備をそろえ3室整備しています。また、この3室と救命救急病棟には、モニターからバイタルデータを自動的に取り込んで一元管理できる電子経過板を完備しています。
処置・診療が終わった患者さんの経過を診るための救命救急病棟では、救命救急センターとして30床の病床を有しており、集中治療から急性期リハビリテーションまでさまざまな入院治療ができ、さらに急変時にも迅速な対応ができることが特徴です。

小児の高度急性期機能を強化し北海道のモデルへ

当院は札幌市において小児急性期医療の拠点となる病院を目指し、病気のある新生児の受け入れや、小児三次救急を実施してきました。
さらに2010年には、より新生児医療の機能を強化するため、3床の小児集中治療室(PICU)を整備。2016年7月には、PICUを6床増床し、新たに継続保育治療室(GCU)6床を開設しました。専任医師と看護師だけでなく小児科医のサポートを加え、24時間体制で赤ちゃんの診療を続けています。
さらに2014年には、道内初となる“小児集中治療科”を立ち上げ、小児重症患者さんの受け入れ強化に努めています。ほかの医療機関からの紹介患者さんの受け入れが中心ですが、事故や外傷については小児集中治療科と救急科とで初療から診療しています。
小児への充実した集中治療体制を築いてきたことが当院の強みの1つです。今後も北海道における重篤な小児医療のモデルとなるべく、より高度な医療環境の整備を目指します。

脳卒中患者さんの生命を守るSCU――急性期の管理からリハビリテーションまで

当院では24時間365日、急性期脳卒中に対する検査・治療を行える体制を整えています。緊急開頭手術のほか、高齢の方や開頭手術が難しい患者さんに向けて、低侵襲で術後の早期回復も見込める血管内治療にも対応しています。
発症後4.5時間以内の超急性期脳梗塞の治療においては、tPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)静注療法に血管内手術による血栓回収術を追加することによって治療成績がよくなることが近年証明され、当院でも積極的に治療を行っています。
さらにSCU(Stroke Care Unit:脳卒中ケアユニット)は脳卒中患者さん専用の病床で、脳卒中の専門知識を有する医師、専属の看護師、リハビリテーションスタッフなどで構成された脳卒中専門チームが処置にあたります。SCUでは持続的な症状監視のもと、脳卒中急性期の集中的な治療と早期からのリハビリテーションを行っています。このような取り組みは、最終的な機能予後の向上や死亡率の低下が得られることが欧米の研究によって証明されています。

診療科データ

実績

全救急搬送数の推移(2022年度)

来院後転機(2022年度)

外傷統計(2022年度)

  人数
外傷 1,180 (19.2%)
  転帰 外傷全体に対する割合
入院 423 35.8%
外来死亡 9 0.8%
TAE 21 1.8%
手術 26 2.2%

ドクターヘリ要請内容(救急隊接触後・2022年度)

  2022
ドクターヘリ要請内容(救急隊接触後)
外傷 全身観察での異常 18
バイタルの異常 12
大量の外出血 1
出血維持 1
切断指・肢 2
広範囲熱傷 0
CPA 目撃あり 3
発症10分以内 1
初期波形VF 3
救急隊接触後のCPA 1
ROSC 3
内因 意識障害 31
呼吸不全 1
ショック 12
四肢麻痺 19
構音障害 10
胸・背部痛+ショック 7
アナフィラキシーショック 2
状態不安定 3
その他 19
144

臨床研究

・COVID-19に関するレジストリ研究(COVIREGI-JP)
・日本航空医療学会ドクターヘリインシデント・アクシデント登録と要因分析に関する研究
・日本航空医療学会ドクターヘリ全国症例登録システム(JSAS-R)への登録・調査・分析に関する研究
・小児鈍的肝損傷および脾損傷の自然経過と診療パターンの検討:多施設後ろ向き観察研究
・病院外心停止に対する包括的治療体制の構築に関する研究
・高齢敗血症性ショック患者に対する初期血圧管理戦略多施設共同ランダム化比較試験

所属医師

  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    副院長/救命救急センター センター長/統括安全管理責任者/医療安全管理室 室長

    奈良 理SATOSHI NARA

    診療科・専門
    救急科/救急医学、集中治療医学、災害医学
    資格・学会
    日本救急医学会救急科専門医・指導医/日本集中治療医学会集中治療専門医/日本外傷学会外傷専門医
    他所属・認定
    札幌医科大学臨床教授/日本DMAT登録隊員(統括DMAT)/日本航空医療学会認定指導者/北海道災害医療コーディネーター/産業医
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    救急総合診療科 主任部長

    森下 由香YUKA MORISHITA

    診療科・専門
    救急科/-
    資格・学会
    日本救急医学会 救急科専門医
    他所属・認定
    ICLSコースディレクター
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    救命救急センター 副センター長/救急科 部長

    大西 新介SHINSUKE ONISHI

    診療科・専門
    救急科/-
    資格・学会
    日本救急医学会 救急科専門医・指導医/日本外科学会 外科認定医
    他所属・認定
    統括DMAT登録隊員
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    救命救急センター 副センター長/救急科 副部長

    岡本 博之HIROYUKI OKAMOTO

    診療科・専門
    救急科/救急医療、プレホスピタル、航空医療、災害医学
    資格・学会
    日本救急医学会救急科専門医・指導医
    他所属・認定
    日本救急医学会認定ICLS-WSディレクター/日本集団災害医学会 評議員/日本臨床救急医学会 評議員/日本航空医療学会 評議員/社会医学系専門医協会 指導医/日本航空医療学会認定指導者/日本DMAT登録隊員(統括・ロジスティックチーム) /日本集団災害医学会 MCLS管理世話人/JPTEC北海道 世話人/札幌医科大学臨床教授/北海道災害医療コーディネーター/日本医師会認定産業医
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    救急科 副部長

    清水 隆文TAKAFUMI SHIMIZU

    診療科・専門
    救急科/-
    資格・学会
    日本救急医学会救急科専門医/日本外科学会外科認定医
    他所属・認定
    DMAT登録隊員
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    主任医長

    大城 あき子AKIKO OSHIRO

    診療科・専門
    救急科/救急医学、集中治療医学
    資格・学会
    日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医
    他所属・認定
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    主任医長

    白坂 有紀子YUKIKO SHIRASAKA

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    日本救急医学会 救急科専門医
    他所属・認定
    厚生労働省臨床研修指導医
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    主任医長

    片山 洋一YOICHI KATAYAMA

    診療科・専門
    救急科/-
    資格・学会
    日本救急医学会 救急科専門医・指導医/日本集中治療医学会 集中治療専門医
    他所属・認定
    日本DMAT登録隊員/北海道災害医療コーディネーター
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    主任医長

    俵 敏弘TOSHIHIRO TAWARA

    診療科・専門
    救急科/救急、集中治療、災害医療、プレホスピタル学
    資格・学会
    日本救急医学会 救急科専門医
    他所属・認定
    ICLSコースディレクター/日本医師会 臨床研修指導医/日本外傷診療研究機構 JATECプロバイダー/DMAT登録隊員
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    救急科 医長

    中舘 聡子SATOKO NAKADATE

    診療科・専門
    救急科/-
    資格・学会
    日本救急医学会 救急科専門医
    他所属・認定
    日本外傷診療研究機構 JATECプロバイダー/SCCM公認 FCCSプロバイダー/がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    救急科 医員

    岡本 憲幸NORIYUKI OKAMOTO

    診療科・専門
    救急科/-
    資格・学会
    日本救急医学会 救急科専門医
    他所属・認定
    -
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    医員

    佐藤 昌太SHOTA SATO

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    医員

    渡辺 梨花RIKA WATANABE

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 札幌医科大学附属病院

    専攻医

    堀尾 康裕YASUHIRO HORIO

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    医員

    守田 晴輝HARUKI MORITA

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    医員(専攻医)

    小林 郁矢FUMIYA KOBAYASHI

    診療科・専門
    -
    資格・学会
    -
    他所属・認定
    -
  • 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

    非常勤

    三浦 龍馬RYOMA MIURA

    診療科・専門
    救急科/救急医学、集中治療医学
    資格・学会
    日本救急医学会救急科専門医
    他所属・認定
    -
目次

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