放射線診断科
診療科について
ポイント
画像診断とIVRによって地域医療を支える――院内外のコンサルトに対応可能
放射線診断科の業務は、大きく分けて2つあります。1つは科名が示すとおりの“画像診断”で、もう1つは画像診断の技術を応用して治療を行う“IVR(Interventional Radiology:画像下治療)”です。
当科は、基本的に画像診断やIVRの手技を使って他科や他院の診療のサポートを行っています。あまり表に出る科ではありませんが、他科からコンサルトがあった際には画像診断によってアドバイスを行うことで、できる限り適切な治療方針を示せるよう努めています。また、院内の診療科に限らず、地域のクリニックや他院の科からもご相談があれば、当科で対応できるものに関しては引き受けていきたいと考えています。中には当科で対応できないケースもありますが、その場合には対応可能な他院や大学病院など、適切なご相談先をお伝えするようにしていますので、まずはお気軽にご相談ください。
また当科では、画像を見ながらの生検(バイオプシー)やドレナージなどのIVRを大変得意としております。放射線診断専門医が3人(うち2人は日本IVR学会IVR専門医 2023年10月時点)おりますので、受診の前にCTやMRI画像を送っていただければ、まずは画像から概況を把握したうえでご相談に乗れるかと思います。
診療内容・診療体制
高まる画像診断の需要に対応
画像診断は読んで字のごとく、CTやMRIなどの読影・レポート作成を行うものです。ここ数年の画像診断機器の進歩は目覚ましいものがあり、日常診療における画像診断の重要性は極めて大きなものとなっています。その一方、目を通さなければならない画像の数は数十倍に膨れ上がってきており、それに伴い病変を見逃すリスクも高まってきています。
また、撮像法はどんどん複雑化し、画像診断機器を適切に使いこなすには専門的な知識が必要となってきています。我々は画像診断の専門家として画像をチェックするだけではなく、適切な検査法のアドバイスに加え、安全管理(被ばくによるリスクや造影剤の副作用などへの対応)にも積極的に携わるよう努めています。
画像診断の重要性は今後ますます増えてくると思われますが、検査をご依頼された先生に質の高い情報をお伝えすべく、今後とも努力していきたいと思います。
ほとんどのIVR施行が可能
IVRは、画像診断装置を用いてさまざまな治療や生検などを行う技法です。具体的には、超音波画像やCTで観察しながら目的の部位に針を刺して生検やドレナージを行ったり、血管造影の手技を用いて薬の注入や血管の塞栓などを行ったりするものです。少ない侵襲で、時に劇的な効果を上げることができます。特殊な道具が必要なものを除けば、ほとんどの手技は当科で施行可能であり(頭部と循環器の領域に関するものは当院の脳血管内科と循環器内科で行っています)、検査内容、件数とも大学病院を含めた全国の名だたる病院に負けないものであると自負しています。
特に当院は救命救急センターを擁しているため、夜間搬送された外傷症例に対し、止血を目的とした緊急のIVRを行うことも少なくありません。外傷性だけではなく術後や産後の出血も命に関わるものがあり、可及的速やかに手術やIVRで止血することが重要ですが、札幌市内でも救急のIVRに対応できる施設は大学病院を含めて数施設に限られており、当院は札幌市内で重要な役割を担っています。
また、当科では2022年から 運動器カテーテル治療(経動脈的微細血管塞栓術:TAME)の提供を開始しました。通常の治療に抵抗性のある五十肩やテニス肘、ゴルフ肘、膝関節痛などでは、“モヤモヤ血管”と呼ばれる異常な血管が増生し、それが痛みの原因となっていることがあります。運動器カテーテル治療は、その血管に対して経動脈的微細血管塞栓術を行うことで痛みを取るという治療法です。まだ保険適用となっていませんが、7割程度の症例で効果があるとされています。今後普及が期待される治療法だと考えていますので、もしお困りの患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。
IVRは日進月歩の領域ですが、その進歩に取り残されることのないよう、学会にも積極的に参加しています。IVRは機器の発達と創意、工夫によって、思いもよらない対応が可能なケースもありますので、何かお困りの際にはぜひ一度ご相談ください。
最新機器をそろえる
当科では、最新式の機器(CT、MRI、超音波診断装置など)を導入しています。
診療技術部の協力により、CT、MRIであれば依頼後1、2日で検査施行可能であり、加えてほとんど全ての臨時の検査依頼にも対応しています。
IVR領域では血管造影装置とCT装置が組み合わされたIVR-CT装置を2014年に導入し、専用の超音波装置もIVR室内に常設しました。これにより、最適のモダリティーで、あるいは複数のモダリティーを組み合わせた手技の施行が簡便化され、一段と正確、安全にIVRを施行することができるようになりました。
対象疾患
当科のIVRの対象疾患は以下のとおりです。画像診断とIVRは日進月歩の領域であり、今後もさまざまな機器や手技が開発されてくると思われますが、時代に遅れることがないよう日々情報収集を行い、手技の研鑽に努めています。
- さまざまな出血(外傷性、喀血、消化管出血、血尿、産後出血、術後出血、特発性出血など)に対する動脈塞栓術(TAE)
- 内臓動脈瘤、仮性動脈瘤、肺動静脈瘻(奇形)に対する塞栓術(TAE)、ステント留置術
- 悪性腫瘍(肺がん、肝臓がん、肝転移、婦人科悪性腫瘍など)の動脈塞栓術、動注化学療法(抗がん薬を動脈から注入する)、動注用リザーバー留置
- 良性腫瘍(腎臓の血管筋脂肪腫、子宮筋腫など)に対する動脈塞栓術
- 門脈圧亢進症や脾機能亢進症に対する部分的脾動脈塞栓術
- 胃静脈瘤に対するバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)・難治性腹水に対するデンバーシャント留置術、経頸静脈肝内門脈大循環短絡術(TIPS<保険非適用>)
- 上腸間膜動脈血栓症に対するウロキナーゼ動注療法、経皮的血管形成術(PTA)
- 上大静脈、下大静脈閉塞に対するステント留置術
- 中心静脈ポート、PICCの留置(いずれも外来で施行可能)
- 経皮経食道胃管挿入術(PTEG)
- 肝切除術前の経皮経肝門脈塞栓術(PTPE、ITPE)
- 深部静脈血栓症、肺塞栓症に対する下大静脈フィルター留置術
- 血管内異物除去
- 肝臓がん、肺がん、腎臓がんに対するラジオ波凝固療法(RFA)
- 経皮的針生検(肺、肝、骨、リンパ節など)
- 膿瘍(肝、肺、腎、後腹膜、腹腔内など)に対する経皮的膿瘍ドレナージ術
- 巨大肝嚢胞や腎嚢胞に対する嚢胞ドレナージ術、嚢胞廃絶術
- 術後や特発性のリンパ漏に対するリンパ管造影、リンパ管の塞栓術
- 圧迫骨折や骨転移の痛みに対する経皮的椎体形成術(PVP)、動脈塞栓術
- 運動器痛(五十肩やテニス肘などの)に対する経動脈的微細血管塞栓術(TAME<保険非適用>)
特殊医療機器
CT、MRI、超音波検査装置、血管造影装置、核医学検査装置(ガンマカメラ)ともに最新式の機器を導入しています。
- CT:MDCTが3台(64列2台、320例1台)
- MRI:1.5T/3台
- 超音波:造影USやドプラ検査が可能な最新機種/6台(心エコーを除く。1台はIVR室に設置)
- 血管造影装置:4台(1台はIVR-CT、1台はハイブリッド手術室に設置)
- X線テレビ装置:5台
- ガンマカメラ:1台
診療科データ
実績
実績のレポート作成件数~学会・講演
2022年度 | |
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件数 | |
IVR(動脈塞栓術、膿瘍ドレナージなど) | 約500件 |
CVポート | 61 |
PICC | 20 |
CTレポート作成 | 20 |
MRIレポート作成 | 24 |
外来
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日/祝 | ||
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08:40-17:00 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - | |
午前 | 1診 | - | 桜井 |
- |
- | - | - | - |
所属医師
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医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
副院長/放射線診断センター センター長/放射線診断科 主任部長
櫻井 康雄YASUO SAKURAI
- 診療科・専門
- 放射線診断科
- 資格・学会
- 日本医学放射線学会 放射線科研修指導者・放射線診断専門医/日本IVR学会 IVR専門医・IVR指導医
- 他所属・認定
- がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
-
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
主任医長
山口 紅BENI YAMAGUCHI
- 診療科・専門
- 放射線診断科/-
- 資格・学会
- 日本内科学会認定内科医/日本医学放射線学会 放射線診断専門医
- 他所属・認定
- がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了
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医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
主任医長
髙橋 文也BUNYA TAKAHASHI
- 診療科・専門
- 放射線診断科/-
- 資格・学会
- -
- 他所属・認定
- -
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北海道大学病院
専攻医
村本 朋之TOMOYUKI MURAMOTO
- 診療科・専門
- 放射線診断科/-
- 資格・学会
- -
- 他所属・認定
- -
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北海道大学病院
専攻医
石黒 夏海NATSUMI ISHIGURO
- 診療科・専門
- 放射線診断科/-
- 資格・学会
- -
- 他所属・認定
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患者さんのご紹介方法
※1 希望医師、希望日時で予約をしてください。
※2 ご予約後、当院にて受付の上、「予約票」を送信いたしますので、「紹介状」と合わせて印刷して患者さんにお渡しください。